第51話 記憶は私を蝕む ページ4
「A〜剥けたか???」
『うん、今持っていくね!!』
軽くぼんやりしていたが
マイクの声にハｯとする
慌ててお皿を運ぶ
「おぉ梨か!!!」
『マイクは手を洗ってからね』
「シビィｯ!!!!」
『いや、当たり前だからｯ!!』
まるで小学生かのように文句を言いながら
手を洗いに行った
『少し時期は早い気もするけど、良いものが手に入ったから買ってきちゃった』
「……そうか」
『食べれそう??』
「…あぁ、少しもらう」
少しベッドの角度を上げ
梨の入ったお皿を差し出す
戻ってきたマイクも1つつまんでいる
「Aは食べないのか???」
『う〜ん、食べたいんだけどね…何だかお腹いっぱいなの。まだ家に残ってるしお家に帰ったら食べるよ』
「んじゃAの分もーらいｯ!!」
『はいはい、どうぞ〜』
俺の分がなくなるだなんて言いながら
もう1つまた1つと手を伸ばす2人を眺めながら
トイレへと向かった
『ぅｯ……ゲホｯ!!』
吐き気はさっきよりましになる
朝食は多分全部出てきてしまっただろう
持っていたミネラルウォーターで口をゆすぎ
瞼を閉じて個室の壁に持たれれば
思い出すのはママのあの映像で
息が詰まる
"怖い"という単純な感情が自分のことを支配し
自然と体が震える
『だ………大丈、夫………大丈夫、だ…から』
小声で自分にそう言い聞かせる
そうじゃないと耐えられない
恐怖の谷に落ちるかのように先が見えなくなって
嫌な感情が自分のことを丸飲みし支配する
"パパが死んだらどうするの??"
ふとどこからか聞こえてきたその声は
実際に無いはずだと分かっていても
どんどん私の心の中を荒らしていく
『……死ん、だら?………どうする?…………ママは誰を守ってた???』
あの映像がもう1度蘇ってくる
誰かを守り命を落としたママ
ママは誰かを守っていた
大切そうに
傷付けないように
誰かを
『誰……ママが、守っていたのは……誰???』
答えはあと1歩で分かりそうなのに
その1歩はどうしてか
踏み出してはいけない1歩のように思えた
単なる思い過ごしかもしれない
でも体が"思い出したくない"と拒むように
涙が止まらなかった
第52話 ふとした瞬間に ひざしSide→←第50話 三者面談
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 599人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
miotyatora29(プロフ) - こんにちはコメント失礼します！ほのぼのしてて面白かったです！質問なんですけど相澤先生って設定では30歳なんですけど夢主ちゃんの年齢から計算すると……相澤先生13歳で妊娠させてることになるのではないでしょうか…|ω•˘ )勘違いだったらすみません🙇 (2022年10月12日 18時) (
レス) @page12 id: e25d5229fc (このIDを非表示/違反報告)
蒼天 - printemps(プランタン)さん» 家族らしさを伝えられるよう作品を書いてきたので、そう褒めていただけて嬉しいです!!ありがとうございます(*'∇') (2020年4月17日 11時) (レス) id: de42be2b65 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - …家族だなぁ(ほのぼの) (2020年4月5日 22時) (レス) id: a86d5a1323 (このIDを非表示/違反報告)
蒼天 - 鯣さん» 鯣さん、ありがとうございます(*´∇｀)!!!! (2018年11月19日 21時) (レス) id: be4adeb0ca (このIDを非表示/違反報告)
鯣(プロフ) - 蒼天さん» いえいえ大丈夫ですよ！読み方はさくやのがくえんです！ (2018年11月19日 18時) (レス) id: 12f3679b3b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼天 | 作成日時：2018年8月21日 10時
