相澤さん家の娘さん2

第64話※ 罠2 ページ17

「た、助けてｯ……!!」

「助けてぇぇぇえ!!」

案の定冷たい水に体は悲鳴をあげた
それでも歯を食い縛りゆっくり息を吸ってから
笑顔で2人に声を掛ける


『大丈夫だよ!!今、お姉さんが助けるから!!!!2人ともゆっくり息を吸って、吐いて!怖いと思うけど静かに体を流れに身を任せるの、すぐにお姉さんが2人に追い付くからね!!』

私は2人が指示通りにできたのを見計らい
少し濁った水の中を進んだ


『よしｯ…掴まえた!!怪我はない??』

「うんｯ…」

『寒いと思うけどもう少し頑張れｯ!』

もう1人の子は少し遠くにいたが
すぐに追い付くことができた


『手を頑張って伸ばせる??』

「………うん」

『よしｯ!!』

私の手を握る小さな手をしっかりと掴み
もう一度怪我はないか確認する


『大丈夫???痛いところとか、いつもと違って変なところとかはないかな??』

「「うんｯ…」」

『じゃあ、今度はしっかりお姉さんに掴まっててね!!』

2人がしっかりと私の体に掴まっていることを確認し
半径1km分の川の水を消滅させる


『消滅ｯ!!!』

すかさず水は消え
2人の重さが私の体に掛かる

私は川底に足がついた瞬間に
2人を抱えて岸の方へと向かった

川底には思った通りゴミ等があり
すぐに水を消滅させ無くて良かったと安堵する

近くの梯子から2人を順番に引き上げて
最後に川の水が戻ったのを確認し安堵する


「紗菜!!!」

「啓太!!!!」

それぞれのお母さんだろうか

びしょ濡れになった我が子を抱き抱え
無事を噛み締めている


『……良かった』

気付けば辺りは多くの人がいた

私は張り詰めていた自分の緊張を解き
帰ろうとしたときだった


ピシャンｯ!!!!

すっかり存在を忘れていた苛めっ子達の1人が
私の頬を叩いた


「………ｯ最低!!!!!」

『……え??』

意味が分からなかった

状況を飲み込めない私を他所に
その子は大きな声で話を始めた


「そんなに功績が欲しかったの???」

「え?どう言うこと??」

ザワザワとなる周りに

これは罠だったのかと気付くのに
そう時間はいらなかった


「Aちゃんヒーローになりたいって言ってたとき……ヒーローになるには若い頃の功績が将来に繋がるって言ってた……だからでしょ???だから、そんな小さな子を巻き込んでわざわざ自分から功績を作ろうとしたんでしょ!?……Aちゃんのこと親友だと思ってたけど、もう……もう信じられないよｯ!!!」

使い勝手の良い涙を流しながら
その子は叫ぶかのように心にもないことを言った

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