過去〜ハクside〜 ページ32
『それから人のいない所を探して旅をした。北山にたどり着く途中、何度か賊に襲われかけたこともあったけどなんとかたどり着いた。それからずっとあそこにいた。』
信じていた人からの裏切り。
それは1番辛いこと。
『私はストラのあの言葉を思い出す度に思うの。この力があれば必要な存在なのかもしれない。でも、この力がなければ要らない人間なの。1番使えなく要らない人間。ストラはあの日「お前に力があるから拾ってやる」そう意味だったのよ。だから要らなくなればきっと捨てるわ。』
こいつが1番怖いのは捨てられることによる孤独。
己が1番体験していることだから。
『...怖いの。この旅が終わればまた独りになる。この温もりから素直に離れられるか分からない。』
俺の腕の中で静かに涙を流しながら小さく震える彼女を力強く抱きしめた。
ハ「離れねぇ。この旅が終わっても離れねぇ。何も怖いことはねぇ、今いるのは俺だけだから離さねえからたくさん泣け。」
涙を流しているところを見たことがあっても声をあげて泣いている姿を見たことがない。
泣きたい心を我慢して泣いていてんだ。
そうやってこいつは自分は1人だということを噛み締めていたんだろう。
声をあげて泣くAを抱きしめて心の底から愛しいと思った俺は不謹慎だろうか。
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紗月(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2016年6月30日 18時) (レス) id: 778bb0b763 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冷奴 | 作成日時:2016年6月16日 15時