残酷~ハクside~ ページ4
ハ「...ッ。ここはどこだ。姫さん!」
痛む体を忘れて無我夢中に走った。
ハ「ハァハァ。どこだよ、どこにいんだ!姫さん!」
そしてふと目に入った光の元へ足を進めた。
誰かいる!姫さん!
ハクが見たのは真っ白な肌が月明かりに照らされ頬を伝う涙がキラキラと光り真っ黒な髪が闇と溶け合いまるで天使が舞い降りてきたようだった。
見ていたい。目がそらせない。もっと近くで見たい。
ポキッ
足元に落ちていた枝を踏んでその音に気づいたA
が振り返った。
『目を覚ましたのね。』
その声は凛としていて例えるなら鈴の音のような耳に響く綺麗な声だった。
ハ「あんた誰だ。赤い髪の女を見なかったか。」
『死んだ。』
ハ『あ?・・・何言ってんだ?姫さんは死なねえ。よく思い出せ!赤い髪だ!!』
般若のような形相でAの肩を掴み言った。
嘘だと言ってくれ。「それは姫さんじゃない」とそう言ってくれ。
『あなたと一緒に落ちていた赤い髪の少女は亡くなった』
ハ「...ッ。嘘だろっ。くそおぉぉぉぉ!.....何でだよ。イル陛下。イル陛下っ!連れて行ってんじゃねぇよっ!!」
守れなかった。専属護衛とありながら守れなかった。俺がもっと強ければ守れた。約束を果たせた。
姫を死なせることはなかった!
俺が...俺がっ。俺が死なせた。
涙を流し続けるハクをAは過去の自分を見ているようで胸が痛くなった。
『人はいつか死ぬ。そしてまた出会う。何度だって繰り返す。ならばその時が来た時愛せばいい。見失わなければ強くなれる。そしてまた笑えばいい。』
その言葉はハクの心にスッと染み渡った。
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紗月(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2016年6月30日 18時) (レス) id: 778bb0b763 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冷奴 | 作成日時:2016年6月16日 15時