闇の天使の鈴の音~弌~ (ページ30)

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門までが凄く遠い。

もう少し、もう少し

｢打て！｣と言う声が聞こえたと思えば
背中に痛みとともに衝撃が走った。

『ｳｯ！』

首を捻れば背中に刺さる1本の矢。

激痛と熱が襲う。きっと毒矢かなにかだろう
意識が朦朧とする。

近づいてくる足音に顔を上げることもできず。

『アァァァ！！』

グチャグチャと身をえぐるような音と共にこれまでにない激痛が走った。

カランカラン
目の前に落ちた矢は血で染まっていた。

｢Aせっかく迎えに行ったのに。勝手にどこいってるの？外に逃げる気だったんだ。｣

声で分かる。
私達が誰よりも信頼をよせていたストラだった。

｢あなたは体が薄いから矢が深く刺さったね。｣

傷なんてどうでもよくて、私は

『どうして、ストラ？私達に力を貸してくれたじゃない！信じていたのよ！』

荒い呼吸のなか必死に言った。

なのに、ストラは
ス｢凄い凄い！傷が閉じていく！話は聞いたことがあったけど目の当たりにすると気持ち悪いな。｣

笑っていた。

『...どうして。』

ス｢知ってる？緋龍が死んで龍達がこの城を出ていってからのこと。｣

『...。』

ス｢あんたの力を欲する他国や賊の奴らが民たちを次々に襲ってることを。最初は俺らも助けていた。でも、手に負えねぇ。そこでだ、俺は考えた。あんたの力を使えばこの国はもっと強くなる。今よりはるか上の強国を目指すことが出来る！｣

『そのために、私を捕まえるの？』

ス｢あぁ。なんの力を持ってないあんたじゃ今頃殺してる。お荷物だからな。厄介な力だから最初は要らないと思ったがよく考えれば使えるやつだ。｣

ならば私を捕まえる必要があるのか。

ス｢あんたを捕まえたのは天使だからだ。あんたも民の連中が《黒》のあんたを見て残忍だ、心が汚い、刃向かったら民を殺すんじゃないかと言われ恐れられているのを知っているだろう？｣

偵察に行ったときヒソヒソと言われた時言葉達。

ス｢あんたを捕まえ牢にでもいれればあんたの姿を見ることのなくなる民達に天使は天界に帰ったといえばあんたに対する恐怖がなくなるだろう。｣

何も聞きたくない。どうせ私は死ねない身なのだからなんでもいい。きっとさっき受けた矢傷の痕すら消えている。
毒ももうなにも感じない。