検索窓
今日:3 hit、昨日:31 hit、合計:122,339 hit

拾肆頁目 ページ15

「ねえ、Aちゃん。」

「如何されましたか?」

「Aちゃんには、好いた男の人がいるんだろう?」

私の首筋を、童磨様の指が行ったり来たりしている。
急に聞かれた事に、私はドキリとする。
まるで、もう答えを知っていると言わんばかりの口振り。

「…さあ…お答えしかねますわ。」

「ええ〜。嘘つき。だっていつもAちゃん、俺と話す時も、俺の事見てないじゃないか。」

「そんなつもりは無いのですが…不快にされたのならお詫びを…」

「いやぁ、俺は別にそんな細い事気にしないぜ。ただ、君の相談に乗ってあげたいだけなんだよ。」

なんだか息が詰まる。

呼吸がしにくい。

私の首を包む両手に気が付いて、初めて分かる。
今私は、首を絞められてるんだと。

「…ど、童磨…様…?」

「ねえ、話してご覧。どんな人なんだい?俺が必ず幸せにしてあげるから。」

言っていることが支離滅裂だ。
頭に酸素が回らなくて、グラグラと視界が揺れる。

「離…して…下さい…」

「…ん?ああ、ごめんよごめんよ。」

一瞬の後、すぐに両手が離れた。
私は深く息を吸って、それから咳き込んだ。

「ごめんよ、大丈夫だったかい?」

私の頬を撫でながら、童磨様は心配そうにそう言う。
一体何の力加減を間違えば、あんなに強い力が出るんだろう。

「大丈夫です…。」

私は一回息を吐くと、話すべきか話さないべきか迷った。
でも…

「確かに仰る通り、私には好いた方がいます。でもその方にはお金がありませんし、患いがあります…それにもう、長い間文でしか連絡を取っていません。これで満足ですか?」

少し棘のある言い方になってしまった。
それでも童磨様は、ニコニコとしたまま私を見る。

「そうかそうか…事情も知らないで訊いてしまって、ごめんねぇ…」

急に、視界が半転した。

いつのまにか、私は畳の上に倒れている。

そして私を見下ろすのは…童磨様だ。
でも違う、口だけしか笑っていない。
目が、凍てついている。

「本当の事を教えてやってもいいんだぜ。でも俺は優しいから、しばらくは口を噤んでおくよ。…さて、今日は優しくできないや。」

拾伍頁目→←拾参頁目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (280 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
500人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 童磨 , 花魁
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ミョンヒ - 怖いけど見事なゴジックロマンで、素晴らしいです。とんでもない相手に魅せられてしまった、危なさがよく出ておりますね! (2021年10月24日 21時) (レス) @page14 id: 8a4f993d4c (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - おもしろいです!続き待ってますT_T (2021年7月15日 8時) (レス) id: 4cd171caaf (このIDを非表示/違反報告)
pooky - とても面白いです!頑張ってくださいね! (2021年3月7日 16時) (レス) id: 012e567f90 (このIDを非表示/違反報告)
やっぽ - はじめまして!この作品を何度も読み返してしまうくらい好きです!更新待ってます!! (2020年1月5日 12時) (レス) id: dfe50726da (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶 - 夜月さん» 感想ありがとうございます!恐らくお察しの通りです(色々と)笑 (2019年12月6日 0時) (レス) id: 837e8cc148 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ツナ缶 | 作成日時:2019年11月8日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。