証拠 ページ35
「で、お前は結局どこ行ってたんや」
「…う」
昼休憩、Aにもらった巾着を持ってひとりで体育館を出ようとした所を、運悪く治に捕まってしまった。
「逃げるつもりやったんか」
出入口に仁王立ちした治が俺を睨み付ける。
「ちゃうわ！涼しいとこで食いたかっただけやねん！」
「言い訳なんか聞きたないわ」
言い返せずに黙った俺に「そこで待ってろよ」と言って体育館に戻ろうとした治が、はっとしたように振り返った。
そのまま目線は俺の手元へと移動する。
治の目が、まあるく見開かれた。
「…なんやその巾着」
あ、終わった。
なんて言い訳しよう、
…いやもう無理やろこんなん。
正直に言うしか、なさそうやな。
諦めて、出来るだけ小さな声で言った。
「…友達の家に居ったんや」
「はぁぁ？！そないなもんくれるってことは女子やろ？…お前また遊んどったんか！！」
案の定怒鳴る治。
「遊んでへんわ！！看病しとったんや！！“また”ってなんやねん！！」
「……ほんま？証拠は？」
「う、」
証拠なんてない。
A連れてきて証言してもらうか？
いや、あいつ病人やで。寝てろって言ったの俺やし。
「あああもう、クッソ……」
思わずずるずるとその場に座り込んだ、その時。
「侑！」
北さんの声が聞こえた。
はい、と返事をすると、こっち来い、と呼ばれる。
重い腰を上げて振り向いて、
「……は」
間抜けな声が漏れた。
「…ふふ、言うこときけなくてごめんね。来ちゃった」
いるはずのない彼女が、ふわりと微笑む。
後ろに立つ治の「だれやあの美女」って質問はスルーして、俺はAに駆け寄った。
*********
作者のえのきのこです。
前のと前の前の話に侑が練習着で学校に行く描写があります。
それについて「高校は制服登校では？」と質問があったのでお答えします。
ショーセツバンの稲荷崎のお話(北さんの話)に、朝練のときはジャージ登校をしている、というような描写があったので、部活のときはジャージ登校なのかなぁっていう作者の独断です。
とりあえずこの作品ではそういう設定でいこうと思うので把握お願いします(._.)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 194人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えのきのこ | 作成日時：2019年5月21日 19時
