死にぞこないの死にたがり【宮侑】 (ページ13)

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本音ページ13

ちょっとでもバランスを崩したら確実に頭から落ちる。

それでも笑顔の彼女が、あ、と思い出したように言った。

「さっきの話、途中だったよね」

「さっきの、て…あぁ、せや」

なんで俺には『死にたい』って言ったのか、って話か。

彼女は頷くと、それでね、と話し始めた。

「徹、すごくイケメンなんだけど、あなたなら勝てるんじゃないかなぁって」

「…は？顔が？」

「うん、それもだね」

バレーやなくて、顔？

いや、それも、ってことはバレーもか。

「徹に勝ってほしいんだ、なんでかは分からないけど」

変だよね、私もそう思う、って言う。

「バレーやってて、しかもセッターって聞いて、ほんとに勝ってくれるんじゃないかな、って変な期待してるの、あなたに」

「…はあ」

「多分ね、…ちょっと悔しいんだ」

急に声のトーンが落ちた彼女に驚く。

どこか悲しそうな笑顔が、皮肉なほどに綺麗で、切なくて。

はあ、とかへえ、とかしか言えない自分が憎い。

なにか、言ってあげたい。

でも、いい言葉が見つからなくて。

「私じゃ、ひとつも徹に勝てるものがない、から」

そのガラス玉みたいに透き通ったきれいな目がこちらを見る。

「あなたに、私の代わりに勝ってほしくて。……私の存在意義みたいなものを奪った徹を、倒してほしくて………」

「…」

「なんてね。変だね。めちゃくちゃ。……忘れて、いいよ」

強がりやなぁ。

無理して笑っとるのがバレバレや。

今にも泣きそうな顔してんで、お前。