死にぞこないの死にたがり【宮侑】 (ページ11)

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不真面目ページ11

その時、授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。

あ、と彼女が声を漏らす。

やば、遅刻や。

スマホを見ると、さっきの友達からきた『授業始まるで』ってメッセージが表示されていた。

あぁ、やらかした。物理の先生怖いねん。

「宮ぁぁ！遅いわ！！」って怒り狂う。もう何回怒鳴られたことか。

絶望する俺とは反対に、彼女は何故かにこにこしていた。

こいつ、焦るとかないん？

流石、死にたがりなだけあるわ。

心のなかで意味もなく悪態をつく。

「ねぇ、さぼっちゃおうよ」

彼女はその笑顔のまま、さっぱりとした声で言った。

うわ、こいつ、完璧な笑顔でとんでもないこと言いよる。

俺が黙っていると、彼女の真っ白で細い手が俺の腕を掴んだ。

こっちこっち、と引っ張られる。

だからなんでそんな力強いんや。

あ、いつも屋上によじ登っとるからや。絶対。

「え、待てや！授業あんねん！」

「何言ってんの、私もだよ」

「物理やねん！！」

「そんなに授業出たいの？…そんな真面目そうには見えないけど…」

と、視線を俺の頭に向けてぼそりと言う。

あ、こいつ髪色で判断しよったな。

金髪だから不真面目、は偏見や。

「俺は真面目なんや！！」

「私は真面目じゃないんだよね～」

俺の腕をぐいぐい引いてけらけらと笑う。

結局、保健室に行きます、と半強制敵に友達にメッセージを送らされ、彼女と一緒に授業をさぼることになってしまった。