拾 ページ10
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「……此処じゃ立ち話もなんだし移動しようか。」
くるりとむいて、彼は言った
さっきとは裏腹に優しい笑顔だった。
あの重々しい雰囲気はどこへいったのだろうか。
しかし、恐ろしい事には変わらない
それを鬼の肉片と血が物語っていた。
『…は、はい……』
本心からか、口からそんな声が漏れる。
足がまだ少し震えている
あまり寒くもないはずなのに、寒気がする。
彼の機嫌を損ねたら…
と、嫌な考えばかりが頭をよぎる。
「怖がらせたかい？ふふっ、ごめんね。」
「でも、君のその顔凄く素敵な顔だよ…俺はそういう顔が大好きでねぇ…」
『あ、あはは…』
ちょっと引いた。
いや、かなり…か？どっちだっていい。
とにかく普通の精神の持ち主ではない事がわかる。
というか、私今どんな顔しているんだろう
彼が好きな顔と行ったら大体絶望した顔だ。
そんな顔だったんだろう、多分。
「魘夢。これ、俺の名前。ちゃんと覚えてね」
『魘夢さん…』
「ん。そう……さて、君の目的地に行こっか。」
『何処に…？？』
「何って…都会さ、浅草。」
ん？？！！
浅草？！！！
おかしい、彼が連れて行く場所としてはおかしい。
彼からしたらデメリットしか無いはず
私を食べよう上手く出来っこない。
何より人が大勢いる
流石に私は問いかけた。
『な、なんで私の生きたい場所知ってるの？！』
『そ、それに…鬼の立場の魘夢さんはあんまりいい場所じゃないのに…！』
彼はんーーと、
考えてからこう言った。
「君、目立ってるって知ってた？？」
『えっ…？？』
「君が通った村じゃすぐに皆んなに、君の噂話されてたよ。」
「お陰で、俺も君の跡をつけられたってわけさ。」
「それにさ…」
「君が通った跡、俺以外の鬼が居たんだよ？」
「壱、武…」
「軽く、十体かな？それぐらい居たよ。」
『おぉ…』
『そ、そんなに居てどうしたの…』
「ん？そこに居た奴らと同じ事したよ。」
「そしたらまた増えてさ…面倒臭いから眠らせたよ」
『や、やる事がえげつない…ですね。』
「よく言われるさ。」
にこにこしている魘夢さん。
ある意味ですごい人…？いや、鬼だ。
ある意味ですごい鬼だと、実感した。
「あぁ、あと君に死なれたら困るし暫く君の近くに居ようかな。」
『はぁ…』
本当にすごい鬼だ。
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作者 - 初コメありがとうございます！！基本的に土日更新なのでそろそろ更新予定です！！！ (2020年11月29日 10時) (
レス) id: 642b8d5027 (このIDを非表示/違反報告)
「」 - やべぇー！！むっちゃ好み！続き待ってます！ (2020年11月27日 13時) (レス) id: b574949f5c (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 1,1000hitありがとうございます！！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 642b8d5027 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - お気に入り登録者100人ありがとうございます！ (2020年11月23日 17時) (レス) id: 642b8d5027 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2020年11月2日 18時
