初めの一歩、踏み出した時から絶望。

捌 ページ8

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風で田んぼの稲が靡いている。
少しだけども、いい匂いがする



大体、暗い夜に風が靡くなんて……







「美味そうな女がいるなぁ…」



「藤の花の匂いか…！でも奪っちまえば」




「はぁ！！邪魔するな！！！！」



「これは俺のだ！俺のだけだ！！！」


「ざけんじゃねぇ！！！」

嫌な予感しかしないんだ。いつも。




一気に4体。
撒けるか……いや、撒くのは無理だ。







お堂の鬼みたろあれ、速かった
きっとコイツらもそうだ。





雑魚でも、人間はすぐに狩れるんだ
それも囲まれるように4体。





あぁ、駄目だ。
こんなんじゃ…




冷や汗が出る。
上手く呼吸が出来ない。


生きているような心地はしない。


仲間割れして、そのタイミングを狙ったって
きっと無理だ。



駄目に決まってる、すぐに行手を阻まれる。

もっと別の作戦を考えなくちゃ。
戦わずして、勝てるような…いや


勝つ方法を。
鬼と鬼同士は仲が悪いんだ。

しかも最悪の状況、
しのぶさんのあの袋を奪われ、捨てられた。
ふざけんなよ((((






でも諦めたくない。






まだ生きたい。




神様かな…ここに飛ばしたのは
せっかく大正時代の世界に飛ばしてもらったんだ。



まだまだ見足りない
ここの世界の事を詳しく調べてみたいのに。






これも試練なのかな…
いつも、そうやって直前に思うんだ。







「速いもん勝ちだぁぁぁ！！！！」




「俺が先だぁぁぁああああ！！！！」




「させるかよぉぉおおおお！！！」




「俺に決まってるだろぉぉおおお！！！」


ありのままのその姿、欲望。
鬼達はいつもそうなのだろうか。




鬼狩りではない人間は常に狩られる運命だろうか。







風が吹く時は____





「がはぁ！！！」


「ぐぉぉっ！！！」


「ぐぅぅぅっ！！！」


「うぉぉっ！！！」






「何してるのかなぁ？僕の獲物(物)に。」





あぁ。なんでいつも良くない事が起こるんだろう。

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