-Teleportation-

17 ページ18

健人Side



健人「あーー、これで当分Aとどこにもいけねーなー…。」



返事をしてくれない風磨にちょっといらつく。


それって、俺がAに隠し事してるから?



風磨「言わなくて良かったのかよ。」


予想通りの声。


健人「言えるもんなら言いたいよ。」


冷たいおれの声。

別にこんな声出そうと思ってなかったのに。


健人「…っ怖いんだよ。 俺が本当のことをAに知らせたとき、Aはどうなるのかって。」


風磨「うん。」


冷たい声を温めてくれるような風磨の声。


たった２文字なのに、とても温かい。


健人「明日は、いうよ。」


風磨「・・・じゃ、おれもそろそろ帰るわ。 お大事に。」


おれの目に涙がたまってることに気づいた風磨は、

それには触れずに、しずかに椅子から立った。


パタンッッ


風磨が病室からでていく音と同時に流れる涙。



俺はAを信じている。

だからいえる。

言えるはずなんだけど、その勇気が出てこない。


もし俺が本当のことを言っても、

君は離れていかないかな?

むしろ、近くに感じることができるようになるのかな・・・?




そんな不安達が俺を俺じゃなくしていくんだ。



でもお願い。



どうか、



どうか君は、



君じゃなく、




ならないで。

１８→←１６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す