キャプテンだけど最年少 (ページ19)

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試合がスタートして最初のサーブは僕らのチーム。西田さんがサーブを打つんだろうなと思い構えていると、

「今日はA打ったら？」

『え、…良いんですか？』

「これから先打てるか分からないやろ？皆に見せな。」

ほらほら早く！と急かされ何故かボールは僕の手元。僕はサーブが好き。皆の驚く顔が見れるから。

『…』

だって、

"おっと？！一瞬にしてボールが相手コートに！！鬼頭選手は確か右利きでしたよね？"

"そうですね！右利きの方が左で打つのには相当時間がかかりますし、あれ程の強さで打つのなら尚更です。"

"リベロなのか疑いたくなる程強烈なサーブ！いや〜、魅せてくれますね！"

「いいサーブじゃん。もう一本決めろよ。」

『はい！』

僕のサーブは初見では取れない人が多いけど、２回目は大体取ってくる人が多かった。だからちゃんと対策を練った。

"次は強烈のサーブに見せ掛けフローター！"

"直前まで強打での打ち方にして最後に下に落とす。まさかの二刀流ですね！"

"さぁ、相手は鬼頭のサーブを止めることが出来るのか？！"

『っぶな…』

"ギリギリ拾いましたね！相手もアタックが強いチームです。さぁ、このまま快進撃を見せてくれるのか！"

"っとここでも鬼頭！！持ち前の跳躍力で止めてみせました！"

『っし！！』

「ナイス！！今日活躍してんじゃん！」

『ありがとうございます！』

いつもこんな調子良い訳ではないけど、今日は何だか冷静に分析出来たし、調子が良かった。周りも上手い人ばかりだから感化されたのもあるかも。

「A！早くおいで！」

『あっ、はい！』

いつの間にか試合は終わって日本の勝利となった。

「大丈夫？上の空だけど。」

『大丈夫です！すみません！』

「…A。こっち。」

『？はい、』

智さんに呼ばれて隣に行くと、おでこをペタッと触られた。

「多分熱ある。とりあえずそこ座ろ。」

大人しくベンチのイスに座り、智さんは祐希さんに説明してくれている。

「ふぅ…今日絶好調だったね。」

『智さんが喝入れてくれたので！』

「でもリミッター外し過ぎたらこうなるってわかったでしょ。ちゃんと調節しな。」

『はいぃ…』

優しく怒ってくれてはいるが、僕はメンタル豆腐だからそれでも凹む。

「…頑張ってくれたのはありがとう。1番かっこよかった。」

『えっ…』

そこにはそっぽを向いて僕を撫でている智さんの姿があった。