心の睨めっこ(2)

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「まだかな？」

麻「10分ぐらい遅れてるみたいだよ。」








後部座席で窓にへばりつき、子供のように山田が待ってる相手は、長谷部さん。

久しぶりに会えるからなのか、今日は朝から上機嫌で、鼻歌なんかも歌っていた。









「あ！マコちゃん！」








俺の車を見つけスタスタ歩いてくる長谷部さんが持ってる可愛らしい紙袋は、きっと山田へのお土産だろう。








「マコちゃん！」

誠「待たせてごめんね。Aちゃん、久しぶり。」

麻「もー、ペコペコっすよ。」

誠「わかった、わかった。奢るよ。」

麻「あざっす！流石長谷部さん！」









バックミラーで後ろを見れば、山田はすっげぇ嬉しそうな顔で長谷部さんを見ていた。

長谷部さんも姪っ子のひなちゃんに向けるような顔で山田を見て、山田がする機能の試合の話を聞いていた。





……さっさと付き合えばいいのに。









誠「ちゃんと謝った？」

「謝ったよ。ね！」

『うん。』

誠「はい、これ。」

「ユニフォームだ！と、チョコレート！」

誠「ここの、美味しいんだよ。」









やっぱりお土産か。

俺らには無いんすかね、長谷部さん。

俺一応、今日練習後なんすよね。
リカバリーだったけど。


それでも、運転手をやってる俺に労いは？









「あー、そうだそうだ。Nürnbergって、こんな色だったね。」








チョコレートと一緒に入れられてたユニフォームを広げ、まじまじと見つめてる山田。









「マスター喜ぶと思うよ！」

誠「え？」

「でも、飾るかな？マスター、根っからのWolfsburg好きだしなー。」

麻「Aちゃん。それはね、」

「でも、ちゃんと飾るように言っとくね！」

誠「…うん、宜しくね。」









苦笑いの長谷部さんに気づきもせず、笑顔で言い切った山田。

麻也と俺は笑うのを必死に耐えた。



流石というか、何というか。

それはお前の店のマスターへのお土産でなく、自分へだって思わないとこがすげぇわ。



それを言い切らない長谷部さんもどうかと思うけどね。


この2人が引っ付くのはまだまだ先か。

9 makoto→←7 ＊

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