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『お邪魔しやーっす。』
この家に男の人を上げるのは、カラスが二人目。
一人目は、マコちゃん。
最初は冗談だと思っていたけど、この男は本気でうちに泊まるようで、私の仕事が終わるまでずっとお店に居た。
『何にもないじゃん。』
「悪かったわね、何にもなくて。」
『シンプル イズ ザ ベストってやつですか?』
「もう少しかっこよく発音出来ないの?」
私の言葉になんか全く耳を傾けず、一通り部屋の中を見回せば、勝手にベランダに出て行った。
文句でも言おうかと思ったけれど、私もカラスの家に行った時は自由に過ごさせて貰ってる。
だったら、これは言わない方がいいのだろう。
『やっぱ、景色は何処も同じ感じだな。で、どういうこと?』
カラスのとこにあるとは大違いな、小さなソファーに腰をおろした。
其処は私の定位置なのに…。
仕方ない。
彼は一応、" お客様 "なのだから、私は床に座ろう。
『奈央さん、何を知ってたわけ?』
「私の苗字。」
『はぁ?んなの、自己紹介で、』
「私、名前しか言ってない。」
『俺が山田って呼んでるからじゃね?』
「違う。そっちじゃない。」
『ん?そっち?』
「山田じゃなくて、本当の苗字。Aの方。」
私の本当の苗字を知ってる人は、極僅か。
奈央さんに初めて会った時、私は名前しか名乗らなかったら。
私の記憶が正しければ、マコちゃんは私の事を奈央さんの前では一度も苗字で呼んだ事ないし、カラスだっていつも通り山田で呼んでる。
だから、奈央さんは私の苗字を知らないはず。
『……他は?』
「私に両親がいないって知ってる。」
『…他。』
「生まれた時からドイツで暮らしてる事、私には兄妹がいない事。私の口から話してない事を知ってる。」
『…俺も話してないんだけど。てゆうか、そんな事、俺の口からベラベラ喋っていい事じゃないっしょ。』
マコちゃんがあのお店に頻繁に出入りしてるなんて、あり得ない。
絶対カラスだと思ったのに、眉間にシワが寄ってるこの表情からすると、本当に話してないのだろう。
だとすれば、どうして?
どうして奈央さんは、私の事をこんなに知ってるの?
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Elua(プロフ) - すんさん» すんさん、初めまして!次章は少しずつ……ですが、辛い場面もあるかもしれません…。次もお楽しみ頂けるように、頑張ります! (2015年5月26日 10時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
Elua(プロフ) - 澪さん» 口がポカーンとなる衝撃でした。この呼び名、お互いに変わる日はくるんですかね?眠れなくて次章作成しちゃったので、宜しければご覧ください。 (2015年5月26日 9時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
Elua(プロフ) - はやさん» いえいえとんでもない!カラス内田(芸名?笑)、包容力を兼ね備えてるのでしょうか?実は、言いたい放題言い合えるだけで…(笑) (2015年5月26日 9時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
Elua(プロフ) - miiiruさん» 正面衝突!?大丈夫ですか?私は、発作でも起きたかと思うほど心臓がバクバクしておりました。今もちょろっと(笑)内田さんがここから先、多く笑って下さることを祈ります。 (2015年5月26日 9時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
Elua(プロフ) - agnellaさん» そうですね。優しく見守ってきた長谷部さん。思わぬ泥棒?の出現ですね。あれは、忘れもしません。小学校の頃の林間学校でカラスがカレーのルーの箱を持って飛んでいき……(笑) (2015年5月26日 9時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Elua | 作成日時:2015年3月19日 23時