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代表が終わってドイツに戻り、運良く連休が入った。
前半のシーズン終了まであと少し。
ピリピリしてるほど良い空気は大事だと思うけれど、たまには息抜きも必要だろう。
「で、何で?」
『連休だから。』
「いやいや、意味わから無いし。」
『あ。今日泊めてね。』
「はぁ!?」
何を思ったのか、俺は気づけばいつものキャリーケースに適当に服とジャージを突っ込み、ヴォルフスブルク行きの電車に乗っていた。
一応、山田には連絡をしたんだけれど、既読がつかなかったから仕事中だろうと解釈し、こいつの店までやってきた。
「ねぇ。本当に意味がわからない。」
『リフレッシュには田舎が一番。』
「わるかったわね、田舎町で。てゆうか、ゲルキルだって十分な田舎じゃない。」
『がみがみ言ってないで仕事すれば?』
「ムカつく!」
店に来たからにはちゃんと食事もするし、俺だって立派な客だ。
携帯で適当に日本のニュースを見たり、ゲーム取り出してモンハンやったり、料理つついて、ちゃっかりデザートにケーキも食べたり。
「お会計。」
『上がり?』
「そうですけど。」
ナイスタイミング。
そろそろ寝そうだったんだよね。
何せ、早起きでしたからね。
珍しく朝からしっかり行動して電車に乗って、はるばるヴォルフスブルクまで来たんですから。
「本当に泊まる気?」
『心配しなくても、襲わないから。』
「キモい。」
『俺はこうもっと、ナイスバディなお姉さんが好み。』
「帰れ。今すぐ帰れ。」
『冗談だし。てかさ、気になってたんだけど。』
「何?」
『何でそんなに不機嫌なわけ?俺何かした?』
いつも以上にツンツンしてる山田。
最近関わり少なかったし、怒らせるようなことをした覚えもない。
こうやって顔を合わせるのも、声を聞くのだって久しぶりなわけで、俺の覚えている範囲では、山田を怒らせるようなことは何一つしていないはずだ。
「人の個人情報をペラペラ喋る奴は嫌い。」
『どういうこと?』
「とぼける気?」
『マジで意味わかんない。』
「奈央さんに言ったくせに!」
『はぁ?』
「私の本当の苗字とか、孤児院出身だとか。あんたが知ってる私のこと、全部勝手に話したくせに!」
『…話してないけど。』
「嘘だ!」
『マジで。』
「だって!」
前から奈央さんに感じてた何かは気のせいだと思っていたけれど、そうでも無いようだ。
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Elua(プロフ) - すんさん» すんさん、初めまして!次章は少しずつ……ですが、辛い場面もあるかもしれません…。次もお楽しみ頂けるように、頑張ります! (2015年5月26日 10時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
Elua(プロフ) - 澪さん» 口がポカーンとなる衝撃でした。この呼び名、お互いに変わる日はくるんですかね?眠れなくて次章作成しちゃったので、宜しければご覧ください。 (2015年5月26日 9時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
Elua(プロフ) - はやさん» いえいえとんでもない!カラス内田(芸名?笑)、包容力を兼ね備えてるのでしょうか?実は、言いたい放題言い合えるだけで…(笑) (2015年5月26日 9時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
Elua(プロフ) - miiiruさん» 正面衝突!?大丈夫ですか?私は、発作でも起きたかと思うほど心臓がバクバクしておりました。今もちょろっと(笑)内田さんがここから先、多く笑って下さることを祈ります。 (2015年5月26日 9時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
Elua(プロフ) - agnellaさん» そうですね。優しく見守ってきた長谷部さん。思わぬ泥棒?の出現ですね。あれは、忘れもしません。小学校の頃の林間学校でカラスがカレーのルーの箱を持って飛んでいき……(笑) (2015年5月26日 9時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Elua | 作成日時:2015年3月19日 23時