心の睨めっこ(2)

3 maya ページ3

食事が終われば、ウッチーはパソコン。

Aちゃんは、本棚から適当に本を選んで読書。



これも何時もの展開。








『またそれ読んでんのかよ。』

「勉強なるもん。」

『俺、絶対真似できねぇー。』

「真似は出来ないよ。」









あ、やっぱり長谷部さんの存在はデカイのね。


Aちゃんが本棚から持ってきたのは、" 心を整える "。

この二人の共通点は、長谷部さん好きってとこだろう。



この本だって、ウッチーは貰ったんじゃなくて、ちゃんと買ってたしね。









『面白い本なら、上から3段目の左から5冊目。』

「何で？」

『いいから、持って来てみ？』









何の本だと思って目を向けると、見慣れた題名が目に入る。









「うわっ、」

『表紙から面白いだろ？』

「これ……ぷふ……、」

『まぁ、中身はそこそこだけど。』









こらこら、ウッチー。

表紙も完璧だけど、中身も完璧なんだからね。




ウッチーがオススメしたのは、俺の本！

いやー、たまにはウッチーも良いことするじゃん。








「い、いくら売りたいからって……ぷふふ…、」

『目が行くだろ？』

「でも、この表紙は無いよ。」









ちょいちょいちょーい！

Aちゃんさっきから笑いすぎだからね！
超真面目に撮った表紙なのに！





って、Aちゃん。

いつからそんな風にウッチーの前で笑うようになったの？

あの無愛想なAちゃんはどこに行ったの？









「何でこんな表紙にしたの？」

麻「おい、内田！何落書きしてんだ！！」

『俺じゃねぇし。ボビさんだし。』









俺の穏やかな心は一変。


表紙の俺のおでこには"顔"て書かれてるし、眼鏡をかけて撮ったのに、塗りつぶされてサングラス状態だし。

空いてるスペースには、なんか変な宇宙人みたいなの書いてあるし。









「本出してたんだね！」

麻「ま、まぁね。」

「…表紙…ぷふっ、」

麻「そんな表紙じゃないからね！」









ボビさんめ！


ウケる。

じゃなーい！！



ケラケラ笑うAちゃんの反応に、満足そうに片方の口角を上げて笑ってるウッチー。









「書いていいの？」

『いいよ。』

「マジックどこ？」

『あそこ。』

麻「こら！落書き帳じゃないぞ！」







.









2013年 9月

俺らはまだ知らない。


Aちゃんにとっても、ウッチーにとっても、長谷部さんにとっても。

苦しい年になるなんて、知るはずがなかった。

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