心の睨めっこ(2)

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パチッ、と目を開け、時計を見れば朝の6時過ぎ。



昨日は珍しく、ぐっすり眠れた。

だからなのか、体も何だかスッキリしているし、頭も重くない。



リビングの雨戸を開けるスイッチを押せば、部屋の中に徐々に光が飛び込んでくる。







「んぬ〜っ！」







テラスに出て伸びをして、体に朝の空気を取り込むのも、ここに来ての日課になった。




夏になれば日本では「ラジオ体操」てやつをするみたいで、YouTubeで見つけたからその音楽を流してやってたら、起きてきたカラスにおもっきし頭をしばかれて怒られたけど。

大音量で流しすぎて、お隣に住んでるドイツ人の奥さんが出てきて笑われたけど、カラスはひたすら『ソーリー。』と謝っていた。








誠「おはよう、Aちゃん。早いね。」

「マコちゃん、おはよう。」







メガネ姿のマコちゃん。

朝起きた時の姿も挨拶も爽やかって、凄いね。








『……眠っ。』

誠「ウッチー、おはよう。早いな。」

『ん…。7時40分の電車っしょ？』

誠「7時42分な。」

『あってんじゃん。送るし。』

誠「本当に大丈夫だぞ？タクシーで行くし。」

『もう起きたし、』







言ってる事は先輩を敬う行為で良いと思うんだけど、身なりが……。


ちょっと毛玉できてるスエットに、ぼっさぼさの鳥の巣ボンバーイエー！な頭。

かっこ悪い。







『………』

「何？」

『…ラジオ体操すんなら、閉め切って部屋の中でやれよ。』

誠「ラジオ体操？」

「やらないもん！」

誠「ラジオ体操って、あのラジオ体操？」

『そう。こいつさ、』

「言わないでよ！」








いつも不機嫌なはずの寝起きのカラスが、何故か今日は機嫌が良い。


でもって、面白おかしく私のラジオ体操事件をマコちゃんに話そうとするから、慌てて止めた。

マコちゃんに知られるのは、やっぱり恥ずかしい。








『わかった、わかった。言わない。』

誠「ラジオ体操か…。俺も夏になったら、やってるよ。」

『は？マジで？』








ま、まさかだ…。



ゲラゲラ笑い始めたカラスだけど、マコちゃんは「何がおかしいんだ？」と首を傾げている。


マコちゃんが1人でラジオ体操…。







「…ぷふっ、」

誠「え、何で笑うの？」

『やべっ、腹痛ぇ。』








想像したら、自然と笑いがこみ上げてきた。



こんな風にお腹を抱えて笑ったのは、いつぶりだろう



なんて、頭の片隅で考えていた。

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