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奈央さんが、自分が憧れていた人だとわかった瞬間、こいつはこんなに人と話せたのか?と思うほどのマシンガントークに変わった。
それには、流石の長谷部さんも驚いたらしく、少しビックリしていた。
奈「あ、その味付けはね。このタイミングでダイヤルを3にすれば上手くいくよ。」
「なるほど!いつも失敗で…。」
奈「こっちは電気コンロだからね。火力調整、難しいよね。」
「そうなんですよ!日本食って、火力大事ですよね。」
奈「うん。繊細な料理よね。」
長谷部さんでもわからない料理トークが始まり、俺らはただその光景を見ているだけ。
新たな山田を見た気がする。
実は、すごく喋る奴なんじゃないか?
普段あまり喋らないけれど、本当はもっと喋りたかったりするのか?
奈「じゃあ、Aちゃんはヴォルフスブルクに住んでるの?」
「はい。」
奈「どんな街?私、ヴォルフスブルクは行ったことないの。」
「何もないですよ。ね、マコちゃん。」
誠「都会に比べると。フォルクスワーゲンのミュージアムと、ちょっとしたアウトレットモールがあるぐらいです。」
奈「あら。それなら、この街といい勝負じゃないかしら?ねぇ、内田君。」
『まぁまぁな戦いだよ。』
長谷部さんもすっかり馴染んで、いつの間にか四人で話し込んでいた。
憧れの人のバワーは凄い。
山田の表情は、かつてないほど明るく、すごく嬉しそうな表情だった。
「また来てもいいですか?」
奈「勿論!」
「やった!」
誠「よかったね。ご馳走様でした。」
『奈央さん、またね。』
奈「ありがとうございました。」
家に着いてからも、山田の機嫌は上機嫌なまま。
「また連れて行ってくれる?」
『うん。』
「本当?本当に?」
『本当だって。約束する。』
「えへへ。」
こんなに嬉しそうなのを、本当に今までに見たことがなくて、
こいつもちゃんと、こんな風に笑えるんだと、なぜかほっとしている自分が居た。
その夜、
いつものように様子を見に来たけれど、山田は静かに寝ていた。
苦しそうな表情もなく、穏やかな顔で寝ていた。
そのことに俺はまた、ほっとしていた。
誠「ウッチー。ちょっといいか?」
穏やかに寝ている山田をぼーっと見ていると話しかけられ、予想外の事に一瞬体がビクッと反応した。
何故なら、もうとっくに寝たはずの長谷部さんがリビングへの入り口に立っていたのだから。
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Elua(プロフ) - すんさん» すんさん、初めまして!次章は少しずつ……ですが、辛い場面もあるかもしれません…。次もお楽しみ頂けるように、頑張ります! (2015年5月26日 10時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
Elua(プロフ) - 澪さん» 口がポカーンとなる衝撃でした。この呼び名、お互いに変わる日はくるんですかね?眠れなくて次章作成しちゃったので、宜しければご覧ください。 (2015年5月26日 9時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
Elua(プロフ) - はやさん» いえいえとんでもない!カラス内田(芸名?笑)、包容力を兼ね備えてるのでしょうか?実は、言いたい放題言い合えるだけで…(笑) (2015年5月26日 9時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
Elua(プロフ) - miiiruさん» 正面衝突!?大丈夫ですか?私は、発作でも起きたかと思うほど心臓がバクバクしておりました。今もちょろっと(笑)内田さんがここから先、多く笑って下さることを祈ります。 (2015年5月26日 9時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
Elua(プロフ) - agnellaさん» そうですね。優しく見守ってきた長谷部さん。思わぬ泥棒?の出現ですね。あれは、忘れもしません。小学校の頃の林間学校でカラスがカレーのルーの箱を持って飛んでいき……(笑) (2015年5月26日 9時) (レス) id: 8fdd172357 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Elua | 作成日時:2015年3月19日 23時