心の睨めっこ(2)

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『何でそんな不機嫌なわけ？』








運転するカラスは、チラチラと私を見ながら言う。


不機嫌も何も、マコちゃんにバレてしまってから何だか気まずく、マコちゃんとまともに連絡を取れていない。

前に比べれば薬を飲む回数も減ったし、カラスの言う通り悪い事じゃないのかもしれない。

でも、良い事でもないだろう。









『長谷部さんにダメって言われたのか？』

「言われてない。」

『じゃあ、何で怒ってるわけ？』

「別に怒ってない。」

『怒ってんじゃん。こんな顔して。』

「そんな顔してないもん！」








タイミング良く赤信号で止まり、私の方を見たカラスは、私の顔のモノマネとでも言いたいのか、眉間にしわ寄せ、険しい顔をしてみせた。

でもって、何故か顎をしゃくれさせて。





マコちゃんは、紳士って言葉が似合う。

でもこいつは、ガキって言葉がとってもお似合いだと思う。









『ってか。お前いつニュルンベルク行くの？』

「決めてない。」

『ふーん。』









マコちゃんが遊びにおいでって言ってくれてたけど、今の状況で行けるわけがない。


この男は、バカだ。









『あ。今日の夜外食だから。』

「えー…。絢子さんのご飯期待してたのに。」

『あのな。絢子さんには、三日に一回でお願いしてんの。お前が来るたびに頼めるわけないだろ。』

「日本食…。」

『我慢しろ、我慢。』









またパスタなのかな。

パスタなんかいつでも食べれるのに。



こいつの家に行く楽しみといえば、絢子さんとのお喋りと、絢子さんが作ってくれるご飯なのに。



でも、絢子さんも大変なんだろうな。

私ならこんな奴の世話なんて、絶対引き受けないもん。





適当に歌ってる奴の鼻歌を聞きながら、窓の外をぼーっと見ていると家に到着。









誠「おかえり。Aちゃん、こんにちは。」

「……何で！？」

『言わなかったっけ？長谷部さん、明日休みになったらしいから来るって。』

「聞いてない！」

『じゃあ、今言った。』







こいつ、確信犯だ！

あらかじめ言っておけば、私がこないと思ったんだ。
絶対そうだ！



しれ〜っとした顔でいつもの位置に座るカラスを睨みつけていれば、笑顔で私を見るマコちゃんが視界に入る。




もっとこう、何だろう…。

微妙な顔されるか、怒られると思ったけど、マコちゃんはただ笑顔で私を見ていた。

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