心の睨めっこ(11)

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練習も終わり、それぞれがクールダウンに入って、終わった選手から自主練したり、ファンサに入って引き上げ始めたり。

ファンサを受けれる場所は、シャルカー達がたくさんで、間に入るのは難しそう…。


どうしようかと考えていれば、篤人もグランドから出そう。








エ「……すぅ…アツトーーーー！」







エマが大きく息を吸い込んだと思ったら、聞いたことがない大きな声で篤人の名前を呼んだ。


練習中は大きな声を出しちゃいけないし、全体練習が終わってたとは言え、まだ自主練で練習している選手もいる。

ど、どうしよう……！







" 自分の気持ちは言葉にしないと伝わらないぞ "








昨日、篤人がエマに言った言葉が、頭の中に蘇った。

エマの中に篤人のその言葉は残っていて、もしかしたら、今のはエマの精一杯の気持ちの表れなのかも。





グランドから出ようとしていた篤人は、もちろん静かな空間に聞こえた自分の名前に反応してこちらを見た。

最初は険しい顔をしていたのに、エマだと分かったのか、目を見開いた後に、下を向いて笑ってこっちに向かって歩き出した。








『こーら。ここは、静かにしないといけないんだぞ。』

エ「……」

『何でいんの？』

「エマが来たいって言い出して。」

『ふーん。俺に会いたくなった？』







ニヤリと笑った篤人は、ふざけたつもりで言ったんだろうけど、篤人に向かって両手を伸ばしたエマ。

エマのその行動に、篤人はまた驚いて目を見開いたけど、すぐに笑ってエマに手を差し出して、エマは私から篤人の元へ。







『A、写真撮って。』

「わかった。エマ、こっち向いてー？」

『エマ、Aの方見て。ピースは？しない？』







篤人の首に回した腕に力を入れて、ギュッと抱き着いてるエマ。

篤人は笑ってるけど、エマはちょっと恥ずかしそうな顔。








『しゃーない。送ってってやりますか。』

「え？電車で行くよ？」

『エマ、電車で帰る？』

エ「……アツト。」

『だってさ。』

「大丈夫？」

『平気。着替えてくるわ。エマ、Aのとこ行って。』








私の元に戻ってきたエマに、篤人との写真を見せてあげたら、少しだけ口角が上がっていた。



駐車場で待っていると、遠くから篤人が歩いてくるのが見えて、篤人を見つけたエマは篤人の方に走り出した。

そんなエマを見て笑顔になる篤人。

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