心の睨めっこ(11)

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篤人にパンにヌテラを塗ってもらって満足そうな顔をして、口の周りにヌテラをいっぱいつけながら食べたエマ。

篤人が笑いながらティッシュでエマの口を拭いてあげて、篤人もわざと口周りにヌテラをつければ、エマが真似をしてティッシュで拭いてくれる。



すっかり懐いた様で、篤人が練習に向かうまでエマはベッタリ。







『じゃあな。気をつけて帰るんだぞ？』

エ「……」

『また遊ぼうな。』

エ「……」

『エマ、聞いてる？』







篤人のお見送りをするのに玄関に来たけど、下を向いたまま何も答えないエマ。

時間が無いから、篤人はそんなエマを見て少し寂しそうに私に笑って"じゃあな"ともう一度言って、エマの頭をわしゃわしゃっと撫でてから出て行った。



エマに部屋に戻ろうと促せばついてくるし、ソファーに座って絵本を広げてる。




私が言うのもアレだけど、もう少し感情を出してくれれば…。

当時、先生たちは私を見てこんな気持ちだったのかな…。









エ「…A。」

「どうしたの？」

エ「…練習、見れないの？」

「練習？…あ、篤人の？」







コクン、と頷いたエマ。

携帯でシャルケの練習予定を調べれば、今日は公開練習になっている。



篤人も全体練習に合流しているから、練習場に行けば篤人の姿を見る事はできるだろう。









「行きたい？」

エ「…うん。」

「次はちゃんと、篤人にバイバイできる？」

エ「……うん。」

「わかった。行こっか。エマ、髪の毛可愛くしてあげる。」







ふわふわのエマの髪の毛を、頭の上で２つ小さなお団子にして結ってあげた。

天然パーマでちょっとくりくりになってるから、いい感じに可愛い。



篤人が見たら絶対メロメロになるはず。







.







「あ！居たよ。」

エ「…見えない。」

「おいで。」







練習場に行けばシャルカー達が多くいて、端っこの方に行けば前の方が空いてたからそこに入った。

ちょっと遠いけど、篤人が練習しているのがちゃんと見える。








「わかった？」

エ「…うん。」








シャルケに戻ってきて、篤人の練習を見るのは、よく考えれば私も初めて。

ボールを普通に蹴って、対人も普通にやってるし、何より楽しそうでホッとする。


チラチラエマの様子を伺いながら見てたけど、エマはずーっと篤人の事を目で追っていた。

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