心の睨めっこ(11)

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ドイツに戻ってきて数日後に篤人は、シャルケのチームキャンプに行った。

久しぶりに見たシャルケのジャージ姿。



鹿島のも似合ってたけど、やっぱりシャルケも似合うなぁ…。

なんて、心の中で思っていた。



家を出る時に食べれるタイミングがあるならって、おにぎりを渡したら "どーも。"って、照れ臭そうに笑っていた。





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私も、マスターのお店に復帰した。



日本に暫く居たから、日本人はもう来ないだろうって思ってたけど、その考えは甘かった。

シャルケに復帰してるニュースが流れ、ドイツにいるなら！って事なのか、キャンプが終わった頃から日本人が増え始めた。



でも、あの時の様な嫌な事をされる事はなかった。






"指輪してないから、違うんじゃない？"



コソコソ話してる声、丸聞こえですよー。

と、言いたいけど、気付いてないし、聞こえてないフリをする。



篤人がくれた、結婚指輪も婚約指輪も、仕事の時は家に置いている。

水仕事だってするし、傷がついたりするのが嫌だから。



篤人は、なんか不満気な顔をしてたけど。









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『ただいまー。腹減ったー。』

「おかえり。」







キャンプも参加出来たし、本人はいい感じだって言うけど、試合に出るとかそれどころか、ベンチインの話すら聞かない。


それでも、シーズンは過ぎていく。





『焦っても仕方ない。痛みが出れば、また半年休まないといけないからね。』

そう説明してくれた篤人は、少し悔しそうな感じもしたけど、確実にやれる事を１つずつって感じだ。








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誠「そうなんだ。で、検査で日本にね。」

「うん。本人は、"じゃ、ちょっくら行ってきますわ。土産欲しい？"なんて、呑気に言ってたんだけどさ。」

誠「ウッチーがそんな感じなら心配ないよ。」

「本当に？」

誠「お土産頼んだ？」

「じゃがりこ。」

誠「美味しよね。」







暇だから、こーっそりマコちゃんに会いにFrankfurtに来た。


オシャレなテラス席でのんびり。

"ハセベ、彼女か？" なんて、たまにFrankfurtのサポーターに話しかけられるけど、"後輩の奥さん。"と爽やかに笑って答えるマコちゃん。








誠「準備は順調？」

「うん。人よりやる事少ないからさ。」

誠「楽しみだなー。」

「当日、お願いします。」








来週に迫った結婚式。

思いの外、篤人の方がやる気満々で、ドレス選びにもしっかり意見をくれた。

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