心の睨めっこ(11)

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『なんか、埃っぽくね？』

「2ヶ月ちょっと放置してたんだから仕方ないよ。リビングの窓開けて？私、寝室とか開けてくるから。」

『うい。』








ドイツの家に帰って来て早々、篤人が文句を言う。



確かに少し埃っぽいけど、久しぶりに帰ってきたこの家。

お気に入りのサンルーム。



日本とは違ってカラッとしてる天気に頬が緩む。








『なー、床も埃っぽい。』

「掃除機かけて。」

『えーー…。』

「掃除機かけるか、今から食材調達しに行くか。」

『食材調達って、いっぱい買うっしょ？車居るじゃん。出すから、掃除機かけてよ。』








そう言ってソファーに寝転んだ篤人に少し殺意が芽生えたけど、日本で頑張ったから今があるんだし、今日は両目を瞑ってあげよう。


埃っぽいとか文句を言いつつ、同じく埃をかぶってる本棚から漫画を出し、ソファーに寝転んで漫画を読み始めた。

久しぶりに見た、この光景。








『……ハッ…クションッ！鼻、ムズムズする…。』

「埃が舞ってるからじゃない？」

『……だるっ。空気清浄機、買うか。』

「は？何でよ？いらないよ。」

『えー…。鼻ムズムズするの、やだ。』







そんな事を言いながら、漫画から一切目を離さず文句を言う篤人。




ちょっと、イラッとする。








『喉乾いた…。』

「何もないよ。」

『マジか…。なー、まだ？スーパー早く行こうぜ。腹も減ったし。』

「まだ無理。」

『…何やってんの？』

「……見てわからない？床に埃があったんだから、当然ベットとかもにもあるよね？布団干してるの。」

『あー…、そっか。』









布団干したし、サンルームのラグも干して…、


寝室の床にキャリーケース2台広げて、クローゼットに仕舞うのと、洗濯に出すのと…、



あー、篤人のこの靴持って帰ってきたんだっけ？

これは靴箱に入れて、食材はあっちで…、








『ラグ、まだ入れない？』

「何で？」

『サンルームに寝転びたいから。』

「…床に寝転べば？」

『痛いじゃん。』








これとこれはこっちで、あれは…明日にして、


マスターのとこも行きたいけど、マスターには明日会いに行くとして、








『なーー…、』

「何ー！？」

『まだーー？』








……まだ？


まだに決まってんじゃん。



数ヶ月放置してた家を1人で掃除して、数ヶ月分の荷物を一人で荷解きしてるんだよ？

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