心の睨めっこ(11)

17 maya ページ17

Aちゃんが日本に来てからの話を聞いている間に、ウッチーはいつの間にか夢の世界に。






「もー。いつも昼寝するなら、床じゃなくてベットに行きなよって言うのに、全然行かないの。」

麻「きっと本人は、寝る気無いんだよ。」

「でもさ、睡魔やってきたら、ベット行こうかなーって思わない？ドイツの家と違って、大きなソファーも無いのにさ。」








ブツブツ文句を言いつつも、薄手のブランケットをかけてあげるAちゃん。



スースー眠ってるウッチーは、リハビリも一応順調にいってるみたいで、少し前よりは心の持ち様も変わったみたいで、顔がスッキリしている。

『あの期間は、誰にも会いたくなかった』と、家に帰ってくるまでの車の中で聞いた。







「ねぇ、麻也。」

麻「何？」

「初めてこんなに長くドイツを離れたんだけど、」

麻「うん。」

「ドイツに帰りたい！て思ってないの。日本で生活するの楽しいって思ってるし、篤人がドイツに居た頃よりも生き生きした顔してて嬉しいし。」

麻「うん。」

「…篤人は、鹿島に帰ること悩んでたりしないのかな？私がいるからって、あったりすると思う？」

麻「それは、無いよ。まだ帰らないのは、ウッチーがシャルケでやり残してる事があるから。日本に帰るってなったら、ウッチーはきっとスパッと決めるよ。」

「本当？邪魔になるのだけは嫌なの。」

麻「心配する事無いよ。移籍するのにAちゃんを理由にして辞める事は絶対に無い。もし、鹿島に帰ってくるってなったら、ウッチーはきっと、今回みたいにAちゃんに頼むと思うよ。日本に一緒に帰って欲しいって。」

「…それならいいんだけどね。」








寝てるウッチーを見て笑うAちゃん。



カラスって言ってツンツンしてたのに。

いつの間にかウッチーの事が大好きになってて、嫌われたくないって悩んで、結婚できて嬉しそうで。








麻「ウッチーの事、よろしくね。」

「私の方が篤人に色々してもらっちゃってるけどね。」

麻「きっと、中々口にはしないだろうけど、ちゃんと感謝してたよ。助かってるって。」

「少しでも役に立ててるなら嬉しい。出来るだけ長く見たい。篤人がサッカーしてる姿を。」








きっと、見せてくれる。

Aの為に、ウッチーはまだまだ踏ん張って、這い上がってくるはず。



俺も、待ってる。

日本代表で、また一緒に出来るその時が来るのを。

18→←16 maya

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す