【ONEPIECE】LORELEI in the MARINE【コビー】 (ページ6)

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再会ページ6

少女が目を覚ました。
そう聞いたのは昼下がり。執務の途中ではあったが、コビーは書類を部下に預け、医療室へと向かった。彼は大佐であった。重苦しく思われるような軍の外套を背負い、またそこに刻まれる｢正義｣の文字をも負う。彼は、彼の仕事に誇りを感じていた。だからこそ、その正義を守ってくれた、あの不可思議な少女の元へと向かいたかった。助けてくださいと懇願された身である。挨拶も無しというのは、些かこちらも気分が悪い。

｢失礼します｣

消毒液の匂いが鼻を刺す。彼女は奥の個室に居ると、医療班の1人が告げてくれた。

｢コビー大佐がいらっしいました。お通ししても？｣
｢どうぞ｣

折れそうな程にか細い声が、静かに部屋に響いた。
医療員がカーテンを少し開き、コビーは中を覗く。白い部屋に溶け込むように、1人の少女が、ベッドの上で座っていた。
不自然な程に鮮やかな紅い瞳。彼を見るや、ゆっくりと細め、薄い唇から｢将校さん｣と言葉を紡いだ。

｢コビーでいいですよ｣

彼は出来るだけ穏やかに彼女に伝える。それを見て、少女は2.3度瞬きを繰り返し、彼の名をはにかみながら呼び直した。
戦場で虚となっていた瞳も、弱々しかった声音も、少しは回復したようだ。

｢銃弾、本当にすみませんでした｣

彼は深々と頭を下げた。少女は困った様に声を掛けるのみで、憤怒に駆られる様子は全く無かった。

｢いいんです。あの様に振舞ってしまえば、不審がられるのは間違いありませんでしたから｣

ああして良かったんです。むしろ褒めてあげてください。彼女は笑む。聖母の包容のように、温かな表情であった。

｢立っていらっしゃらないで、どうかお座りください。私も貴方とお話ししたいんです｣

彼女から聞く2度目の懇願に、コビーは萎縮しつつも彼女の願いを聞いた。ベッドの横にある椅子に腰をかける。彼女と目が合った。丁度、自身と同じくらいの年齢であろうか。なんとなく、そう思った。しかし、とても海賊だとは思えない。且つ、あの場に送り込まれた、軍の刺客ということも考え難い。
少女はその目線を感じ、少し羞恥した。真白な頬を僅かに染めて、唇を緩く噛んだ。