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私の言葉を聞いて目を見開くふっか。

深「...は?」


深「...お前さ、それ意味わかって言ってんの?」


黙って頷く。

軽蔑されたかな。
軽い女だって思われたかな。
嫌われたかな。


「...ごめん、やっぱ、」


言い終わる前にふっかに手を引かれて歩き出した。


深「...知らねえからな。」


振り返ることなくつぶやく。
いつものふざけたふっかなんてそこには居ない。
私は黙ってついて行くことしかできなかった。








着いたのはふっかの家。


深「...入っていいよ」

「お邪魔します...」


モノトーンで統一されたインテリア。
余計なものがないリビングはよく片付いていた。

何度も来たはずのふっかの家。
今日は違う景色に見えて落ち着かない。



深「明日休みだし、今日泊まっていきな」

「...でもそこまでお世話になるわけには、」

深「今のお前をひとりにはできねえよ」


私たちが通う高校は地元から少し離れたところ。
どうしてもここに通いたい、と親に頭を下げた。

ひとり暮らしをして自立すること。
それを条件にようやく許しがでた。


ふっかの両親は海外で仕事をしている。
翔太と私と離れたくない、という理由でひとりで日本に残ったらしい。



深「とりあえず風呂入ってこい」

そう言って着替えを渡される。


頭からシャワーを浴びるとなんとなく冷静になれた気がした。
背中にまわされた手の温もりも、唇に残る感覚も
全部鮮明に覚えている。

でも今日で全部終わったのだ。
...このシャワーを止めたら考えるのはやめよう。
もう全部忘れよう。


だから今だけは少しだけ
想い出に浸らせて

頬を伝う涙には気づかないふりをした。




お風呂から上がってリビングの扉を開ける。


深「...ん、おいで。」


部屋着に着替えてソファでくつろぐふっかが手招きする。
ソファの下に私が座るとドライヤーを手にもつ。


深「熱かったら言ってね〜」


髪をとかすように優しく撫でるふっかの手がすごく心地よかった。


深「.............は........いよ」


ドライヤーの音にかき消されたふっかの声。
上手く聞き取ることが出来なかった。


「え?なんかいった?」

深「なんも言ってないよ〜」


ふっかは聞いて欲しくないんだ。
私はそれ以上聞き出そうとしなかった。




深「はい、おしまーい」

「ありがと」

深「どういたしまして」


んじゃ俺も入ってくる、とお風呂に向かうふっか。
私はずっと放置してたスマホを開いた。

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設定タグ:渡辺翔太 , SnowMan   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:なあや。 | 作成日時:2020年5月24日 2時

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