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深澤side
深｢...あー、樹のこと？｣
真剣な顔でこちらを見る目黒。
伸ばしたままの手を引っこめる。
深｢まあ、俺も翔太繋がりで知り合ったばっかでさ。｣
｢ちょっとしか話したことねえんだけど｣
深｢あ、あいつ翔太の昔のご近所さんね｣
目｢...どんな人なんすか？｣
目黒の顔が若干険しくなる。
深｢なんつーか...簡単に言うと遊んでるタイプ？｣
へぇ、と小さく返事をしてコーヒーをひと口飲む。
目｢俺昨日、あの先輩に話しかけられて｣
深｢...樹に？｣
目｢そうっす｣
目｢んで、いきなり自己紹介されたんすよ｣
コーヒーカップに口をつけながら話す目黒。
目｢まあ昨日は訳分からなかったんすけど｣
目｢...たぶん宣戦布告っすよね｣
深｢...なるほどねぇ｣
樹を本気にさせるって
ほんとにAってすげえと思う。
魅力が隠しきれていないんだよなぁ。
深｢...にしてもどこで知り合ったんだろうなぁ、あいつら｣
本当はAのこと、樹にだけは会わせたくなかった。
でも俺らの努力も虚しく、あいつらは知り合ってしまった。
なんかなぁ、なーんか嫌な予感がするというか...
目｢...あの｣
深｢ん？｣
目｢俺がAと話してもいいっすか？｣
最近話せてなくて、と遠慮がちに下を向く目黒。
俺はよく｢お人好し｣っていわれる。
こういう時はいつも、自分の意思とは関係なしに譲ってしまう。
それでも
深｢悪いけど、今回は俺に任せてくんね？｣
今回だけは譲るわけにはいかなかった。
そういえば驚いた様子の目黒。
...じゃあお願いします、と小さく呟いた。
目｢あと、ふっかさんってAとふたりで飯食うんすか？｣
そういう目黒は嫉妬が隠しきれていない。
深｢嫌なら来ればいいのに｣
笑ってみせるけど、目黒の表情は暗いまま。
目｢...Aと仲直りするまでは行けないっす｣
深｢そっかぁ｣
まだ気持ちの整理がついてないんだろうな。
深｢...まあ実は昨日、明日から一緒に食えないって言われたんだよね〜｣
少し驚いた様子でこちらを見る。
目｢...なんで？｣
深｢そんなの俺がいちばん聞きてえよ｣
空気を暗くしないようにと笑おうとするも上手くできない。
無理して作った笑顔はきっと不自然でしかない。
深｢...まあ結局Aの言ったこと優先しちゃうんだけどね｣
静かにこちらを見る目黒。
目｢また4人で食いましょうね｣
そういった彼はやはり鋭い。
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作者名：なあや。
| 作成日時：2020年5月24日 2時
