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渡｢A〜、迎えに来たよ〜｣
放課後になって帰り支度をするクラスメイトで騒がしい教室。
そんな中でも廊下から叫ぶ翔太の声はよく通る。
教室に来た翔太を見て盛り上がっていた女子たちも、私の名前を聞いてまたコソコソと話し始める。
そんなのはお構い無しに｢はーやーくー｣なんて言う彼はやはり5歳児にしか見えない。
｢おまたせしました｣
渡｢ほんとだよ、早く行こ｣
そう言って差し出された手。
...ほんとにずるいよ、翔太は。
握ってもいいのかどうか考えながら手を見つめる。
渡｢あ、だめだよな。わりぃ。｣
そう言って慌てて手を引っこめる。
少し落ち込んでる自分には気づかないふりをしよう。
｢今日どこいくの？｣
渡｢んー...あ、久々にカラオケ行くか｣
｢いいじゃん、行こ｣
2人きりは緊張するが、ふっかも蓮もバイトだから仕方ない。
彼氏じゃない人とデートってどうなの？って？
私も最初はそう思った。
けれど翔太曰く｢友達として遊ぶだけ、デートとは言わない。｣らしい。
私は｢デート｣という言葉すら使わせて貰えないのだ。
最初は蓮のことも考えて、翔太と遊ぶことを遠慮していた時もある。
だけど
目｢俺が無理やり付き合ってもらってるのに、2人の時間を奪うようなことはしたくない｣
と言われてからは今までと同じように遊ぶことにした。
カラオケまでの道のりをくだらない話をしながら歩く。
渡｢でさぁ、ふっかがさぁ｣
楽しそうに話す彼の横顔はやっぱりかっこよくて思わず見とれてしまう。
渡｢...ん？なんかついてる？｣
｢...あ、ごめん。｣
急に横を向いた翔太の視線がぶつかる。
渡｢ふはっ、俺がイケメンすぎて？見とれてた？笑｣
そうだよ。その通りだよ。
翔太がかっこよすぎて見とれてた。
...なんて正直に言えたらな。
｢んなわけないでしょ。｣
渡｢え〜、ほんとかよ〜｣
そう言ってまた前を向いて歩き出す。
ほんとに可愛げのない女でごめんね。
心の中で呟いた。
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作者名：なあや。
| 作成日時：2020年5月24日 2時
