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田中side
渡｢...そっか｣
そう呟いてまたAちゃんに目線を移す。
しょっぴーはAちゃんの汗ばんだ額に手を伸ばし
張り付いた髪の毛を丁寧に分けていった。
田｢...この子と知り合い？｣
渡｢...いや、知らない｣
...んなわけあるかよ。
普通他人にそんな優しい目しねえよ。
でもなんとなく何かあったんだろうな。
聞いちゃいけないんだろうな。
と思って、そっか、とだけ呟く。
渡｢...俺もう行くわ｣
こちらを見ることなく保健室を出ていった。
櫻｢...あれ？翔太帰ったの？｣
田｢うん、今出てったよ｣
険しい顔をする翔ちゃん。
あいつ大丈夫かぁ？なんて言いながらAちゃんの体温をはかる。
田｢...しょっぴーなんかあるの？｣
櫻｢んー、詳しくは言えないけど...｣
そう前置きをして話し始める。
櫻｢なんか休み時間に会いたくない人がいるらしいね〜｣
｢最近毎日ここ来て、俺が匿ってる感じ？｣
これ内緒な、と言ってこちらを見て笑う。
櫻｢あー、38度超えてるわ...｣
翔ちゃんの呟きを聞いてAちゃんのことが心配になる。
それと同時に頭に浮かぶしょっぴーのこと。
しょっぴーは嫌な人がいてもスルーするスキルはあったはず。
珍しいこともあるんだなぁ、と思いながら時計を見る。
田｢え！もうこんな時間！？｣
やばい、まだ飯食ってねえよ
田｢翔ちゃん！放課後また様子見に来るから！｣
｢Aちゃんのことよろしくね！｣
櫻｢おーう、ちゃんと授業受けろよ！｣
田｢わかってるー！｣
叫びながら急いで教室に戻る。
教室についてコンビニで買ったパンを開ける。
『ねえ』
頭上から聞こえる声に顔をあげる。
そこにいたのは昨日別れたばかりの元カノ。
田｢...なに？？｣
優しく声をかける。
『さっきの...AAでしょ』
田｢...それがどうかした？｣
さっきの見られてたんだ。
ほんの少し動揺する。
『...私と別れた次の日にもうほかの女？』
田｢いや、そうじゃねえよ？｣
泣きそうな顔で言ってくる元カノが正直めんどくさい。
『どうせあの子も遊びなんでしょ？』
『適当に抱いておしまいでしょ？』
田｢...お前いい加減だるいから｣
言ってからハッとする。
元カノの顔を見れば明らかに怒っていた。
『....ほんっとに最低』
そう言って背中を向けてどこかに行く。
やばい。怒らせた。
Aちゃんに何もなければいいけど...
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作者名：なあや。
| 作成日時：2020年5月24日 2時
