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一斉に私に注がれる視線。
恐る恐る立ち上がって入口の方に向かう。
｢...なんでしょうか？｣
『あ！Aちゃん！』
そう言って馴れ馴れしく名前を呼ぶのはチャラそうな男の人。
上履きの色は青、3年生だ。
『ちょっとお話あるからついてきてもらってもいい？』
有無を言わさず引かれる手。
いつもならやめてくれと言えるが、体調がすぐれない今日は抵抗する気力なんてなかった。
連れてこられたのは誰もいない倉庫の前。
明らかに怪しい。
逃げなきゃ、と思うものの体は動かない。
『ごめんね〜、お昼まだなのに。早く終わらせるね？』
にやにやしながら話す先輩。
『あ、名前言ってないね。俺、田中樹。』
田中樹。聞いたことのある名前だった。
確か女性関係がだらしないと噂の...。
｢...私になにか？｣
田｢俺と付き合ってみない？｣
なんて笑顔で言う先輩。
でも...
｢...先輩、彼女いますよね？｣
田｢なんで知ってんの〜？｣
なんてヘラヘラしてる先輩はなんとなく苦手だった。
田｢Aちゃんそういうの気にする感じ？笑｣
｢気にするっていうか普通に良くないじゃないですか...｣
田｢え〜、俺は別に気にしないけどなぁ｣
全然折れてくれない。
｢...それに私、彼氏いますし...｣
田｢あー、目黒？あれ？別れたって聞いてたけど...｣
おかしいなぁ、なんて首を傾げるけどすぐににやりと笑う。
田｢まあいいや！ちょっと静かにしててね〜｣
｢ちょ、なにす、｣
強く腕を引かれて前に体が傾く。
そのまま柔らかい何かの上に押し倒された。
ガシャンと音を立てて閉まる扉。
途端に視界が暗くなる。
...倉庫の中だ。
てことはここはマットの上か。
田｢ちょっと暗いね〜、まあいっか！｣
｢...何かしたら叫びますよ｣
先輩を精一杯睨みつける。
田｢おー、怖い怖い。笑｣
｢でもここね、結構穴場なんだよ？笑｣
確かにここは校舎から少し離れている。
人もあまり通らない。
田｢叫んだところで無駄だと思うけどね？笑｣
｢まあお昼もまだだし、早く済ませちゃおうねー｣
そう言って無理やり塞がれる唇。
｢...んやっ｣
声を出せば、かすかに空いた隙間から舌が侵入してくる。
噛み付くように唇を貪られながら徐々に外されていくボタン。
必死に逃れようとするも、男の人の力に勝てるわけがなかった。
...もうだめだ。
抵抗することを諦める。
涙すら流れなかった。
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作者名：なあや。
| 作成日時：2020年5月24日 2時
