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深澤side
長い沈黙に耐えられなくなってきたころ
先に口を開いたのはAだった。
「...翔太は?」
遠慮がちに聞くA。
深「...まあ、俺らもちょっとあってね...」
「...そっか」
何かを悟ったようで理由を聞かれることはなかった。
「....ごめんね」
深「ん?」
「...わたしがみんなをバラバラにしちゃった」
俯いたまま寂しそうにつぶやく。
深「Aのせいじゃないよ」
「...ううん、私のせい」
「蓮と軽い気持ちで付き合ったのも、ふっかに慰めてなんて言ったのも、全部間違ってた。」
「...みんなの仲を壊しちゃうなら」
「翔太のこと好きなんてならなければよかった...」
Aの言葉に息が苦しくなる。
深「...そんな事言うなよ...」
かろうじて出た声は酷く細くて震えていた。
Aは黙って俯いたままこちらを見ようとしない。
「...私、みんなのこと大好きだったんだよ」
深「...うん」
「4人で過ごす時間が大切だった...」
深「うん」
「それを壊しちゃったの...」
深「...」
「.......今すっごくつらい...」
唇をかみしめるAの顔が苦しそうに歪む。
その表情に胸が痛む。
深「...大丈夫だから。」
「またすぐ前みたいに戻れるから、な?」
...正直元に戻れる自信はない。
それくらい俺らはバラバラになっていた。
でもAを慰めるにはそう言うしかなかった。
深「...せめて俺らだけでもここに集まるのはずっとやめないようにしよう。毎日続けよう」
深「あいつらがまた戻ってきた時誰もいなかったら可哀想じゃん?笑」
俯いたまま力強く頷くA。
深「ほら、時間ないよ?食べよ?」
...もちろんあいつらの帰る場所を守るために、というのは嘘ではない。
けど、心のどこかでは
Aとの時間をなくしたくない
という欲にまみれた気持ちがあった。
翔太も目黒も...
お前らがAのそばを離れるなら
俺がずっと一緒にいるから。
お前らがAを手放すなら
...俺がもらうから。
本当は俺よりずっとAに近い所にいるくせに
わざと遠ざけるんだから
...ほんとにお前らずるいよ。
...要らねえなら譲ってくれよ。
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作者名:なあや。 | 作成日時:2020年5月24日 2時