愛されたい。【青】 (ページ11)

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深澤side

翔太それはごめん。
翔太Aに彼女できたこと伝えた。
翔太あと、Aにキスした。

深｢...まじで何やってんの｣

てか彼女できたってどういうことだよ。
俺ですら聞いてねえし。

...つまりAはずっと片想いしていた相手から彼女ができた報告をされて
さらに理由もわからずキスされたわけだ。

あーあ、そりゃ泣くよな。
そんなの俺だって泣きたくなる。

深澤辰哉そっか
深澤辰哉明日か明後日空けとけ、家いくから

一方的にメッセージを送り付けてスマホをテーブルに置く。

...翔太がなんでこんなことをしたのか
理由なんてなんとなくわかっていた

翔太もさ、こんな話わざわざ俺に聞かせて
そんなの｢助けて｣って言ってるようなもんじゃん

Aのことは好きだし大事にしたい。
でも同じくらい翔太と目黒も大事。

深｢...どうしろって言うんだよ｣

ｶﾞﾁｬ

リビングのドアが開く。

遠慮がちに入ってくるAの目は赤い。
...ああ、やっぱりひとりで泣いてたんだな。

深｢...ん、おいで。｣

手招きすればすぐに駆け寄ってくる。
こんな可愛いやつが他の男に泣かされたんだな。
...なんてらしくもない嫉妬をしてしまう。

深｢熱かったら言ってね～｣

ドライヤーのスイッチを入れる。
Aの髪に触れるのは初めてでひどく緊張する。
ほのかに香るシャンプーの香り。
今俺と同じ匂いなんだ、なんて考える。

髪をどかせば見える横顔が愛おしく感じた。

深｢...お前はほんとにずるいよ｣

他の男に泣かされたあと俺のところにきて
もっと夢中にさせちゃうんだ。

｢え？なんかいった？｣

少し大きな声で言うA。

深｢なんも言ってないよ～｣

...知ってたよ。
どんな立場でもいい、Aが俺を必要とするなら。
なんて考えてる俺の方がずるいよね。

深｢はい、おしまーい｣

｢ありがと｣

深｢どういたしまして｣

今はAの顔を見るのがつらくて
逃げるようにお風呂に向かった。