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｢...これ、ふっかが？｣
深｢んや、机に置いてあった｣
そう言われてもう一度飴玉に視線を移す。
あ、これ...
蓮が好きなやつだ...
(これどこにも売ってなくて)
(一日中色んな店はしごしたの)
(でも結局近所のコンビニにあってさぁ)
(ほんと最悪だよね)
笑顔で話す蓮の顔を思い出す。
レアなんだから味わえよ、なんて言いつつ買えた時には必ず分けてくれた。
...蓮の優しさに触れて
心がじんわりと温かくなるのを感じた。
もう一度、蓮の笑顔が見たいな。
全部話して、ちゃんと謝りたい。
そしたらまた笑いかけてくれるかな。
...ううん、だめだ。
もう私は汚れてしまった。
きっとこの汚れは一生洗い流せない。
こんな汚い姿で蓮の横には並べない...
そう思うと涙が出そうになった。
｢...そーなんだ！誰だろ？｣
誤魔化すようにわざと明るく接してみせる。
でもそんなのでふっかのことを騙せるわけなんてなくて。
深｢...帰ろっか｣
なんて困ったように笑うんだ。
ふっかに気づかれないように｢飴ありがとう｣と書いた付箋を蓮の机に貼って帰った。
深澤side
深｢...え？｣
帰り道、Aが口にした言葉は俺にとっては衝撃的だった。
｢...だから、明日からお昼一緒に食べられない｣
深｢...どうして？｣
声が震える。
約束したじゃん、一緒に2人のこと待とうって。
深｢...あいつらを待たなくていいの？｣
｢...ごめん｣
｢.....きっともう無理だよ｣
悲しそうに笑うAから目が離せなかった。
何となく気づいていた。
でも気づかないふりをしたかった。
教室に戻ってきたA。
鼻を掠める男物の香水。
...こいつ今まで誰といたんだよ、って。
胸が苦しくなる。
深｢...A？｣
名前を呼べばゆっくりと顔をあげる。
深｢...翔太のこと諦めなくていい｣
そういえば驚いた様子で目を見開く。
深｢...翔太も目黒もお前のことが大事なの｣
深｢そして俺も...俺らはずっとお前の傍にいるから｣
深｢...だから、俺ら以外の男には頼らないで？｣
目を潤ませながら話す俺はきっとすごくダサい。
それでも、どうしてもAには伝えておきたかった。
｢...ありがと｣
無理に笑ってみせて、力なく呟くA。
ごめんな。
この時お前に伝えるべきことは
それじゃなかったんだよな。
『俺らに頼って』
そう言えばよかった。
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作者名：なあや。
| 作成日時：2020年5月24日 2時
