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阿部side
｢重くない？大丈夫？｣
阿｢うん、平気だよ｣
｢やっぱり半分持つよ？｣
阿｢大丈夫だってー｣
さっきから俺が持ってる荷物が気になるようで
ずっと同じことを聞いてくる。
可愛いからいいんだけどね。
｢ねえ、なんか手ぶらは申し訳ないから...｣
阿｢うーん、じゃあこれよろしく｣
｢うん、って...軽すぎ！！｣
渡したのは筆が数本入った袋。
Aは不服そうに口を尖らせる。
これ狙ってるのかなぁ...
素だったらほんとに恐ろしい。
せっかく2人なんだし、なんか面白い話したいな。
阿｢Aは好きな人いるの？｣
｢ずいぶんいきなりだね...｣
阿｢せっかくだしいつもは聞けないこと聞こうと思って｣
｢んはは、なるほどね〜｣
くだらない提案にも乗り気になってくれるA。
そういえばAが嫌な顔したところ見たことないな。
根っからいい人なんだろうな。
｢好きな人ねぇ...｣
正直そんなの、聞く前から分かりきっているようなもの。
結局傷ついて終わりだろうな。
｢ん〜...今はいないかもなぁ｣
阿｢...え？｣
｢え？ってなによ｣
俺の顔を見て笑うA。
いやだって、Aは佐久間が...
...なんだ。
阿｢...Aってすごく鈍感なんだね｣
｢そんなことないから！！｣
阿｢だって...｣
｢だって？｣
阿｢...教えてやらなーい｣
なにそれ！、と不貞腐れるA。
本人が気づいてないなら、わざわざ教えてあげることもないよね？
俺は敵に塩を送るなんてごめんだ。
｢じゃあ阿部くんは？好きな人いるの？｣
阿｢俺？いるよ｣
そう言うとAは目をキラキラさせる。
｢おおー、誰？葵とか？｣
阿｢伊波さんも美人だよね〜、でも違うかな。｣
｢教えてくれたら協力するよ？｣
阿｢それAが知りたいだけでしょ笑｣
｢バレた？笑｣
阿｢分かりやすすぎ｣
｢どんな人かだけでも教えて？｣
阿｢んー...俺も仲良い人だよ｣
｢仲良い人？それってこの学校？｣
阿｢うん、そうだよ｣
｢阿部くんのお友達は分からないからなぁ...｣
頑張って考えている様子のA。
...ねえ、知ってる？
俺が話す女子って
この学校にはひとりしかいないんだよ？
まあ、教えてあげないけど。
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作者名：なあや。
| 作成日時：2020年6月28日 2時
