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｢遅れるってば！！急いでよ！！｣
岩｢おい、待てって...｣
無事受験を終えた私たち。
見事に3人とも西高に合格した。
晴れて今日は入学式。
...なのに、こいつ。
｢なんで今日に限って寝坊するの！！｣
岩｢仕方ねえじゃん、楽しみすぎて眠れなかったんだよ｣
｢遠足前の小学生じゃないんだから...｣
岩｢馬鹿にすんな｣
朝から全力疾走。
こんなことなら自転車で来ればよかった...
深｢おー！きたきた｣
｢......っはよ...｣
息が切れて上手く喋れない。
ふっかに笑われてるけど、今は何も言い返せないのが悔しい。
岩｢お前体力なさすぎじゃね｣
｢誰のせいだと思ってるのよ！！｣
涼しい顔で話す照は体を鍛えるのが趣味なだけあって体力が有り余っている様子。
｢てか！早く行こ！席なくなる！｣
深｢あ、そうだよ！急ごう｣
岩｢落ち着けって...｣
入学式は完全に自由席、早いもの順だ。
早く行かないと3人並んで座れなくなってしまう。
深｢あっぶねー、ぎりじゃん｣
｢ね、ほんとよかった...｣
ほとんど埋まった席の中で、偶然並んで空いていた3席。
ふっかが走ったおかげでなんとか確保することに成功した。
｢...照？｣
席に着いてからどこか一点を見つめてぼーっとしてる照。
岩｢あ、わりぃ。なに？｣
｢なんでもないけど...どうしたの？誰かいた？｣
岩｢...別に、誰もいないけど？｣
｢そう...｣
何となく嘘をついてそうだなとは思った。
けど、もうすぐ式が始まる。
私は話すのをやめて前を向いた。
『新入生代表挨拶...』
立ち上がり、歩き出した人を目で追う。
深｢...あいつめっちゃイケメンじゃね？｣
｢そうだね...｣
背が高くて端正な顔立ち。
軽くセットされたふわふわな髪。
『新入生代表、阿部亮平』
阿部亮平、か。
なぜか彼のことが印象に残った。
深｢あー！校長話長ぇ...｣
｢しっ！そういうこと言わないの！｣
岩｢ほら、さっさとクラス見に行こうぜ｣
深｢待って、俺腰痛い｣
腰痛を訴えるふっかの腕を持つ照。
そのまま強引に引っ張っていく。
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作者名：なあや。
| 作成日時：2020年6月28日 2時
