田中と渡辺 ページ2
田中side
Aに別れを告げてからは
世界が色を失ったようだった。
櫻｢また来たの？｣
田｢うんー｣
櫻｢お前また痩せた？ちゃんと飯食ってる？｣
田｢食ってる食ってる｣
櫻｢ほんとかよ...｣
授業を受ける気力もなく保健室に通う頻度もあがった。
翔ちゃんも何かを察して黙って保健室に居させてくれる。
...たまに口うるさく注意されることもあるけど。
田｢ベッド借りるね〜｣
櫻｢おう、人来るまでな｣
田｢はーい｣
上履きを脱ぎ捨てベッドに横になる。
目を閉じたらどうしてもAのことを思い出してしまう。
苦しくて仕方ない。
だけど、少しでも思い出に縋っていたくて
今日も静かに目を閉じる。
それからしばらくたった時。
ガラガラ、と扉が開く音が聞こえた。
櫻｢おお、どうした？｣
『体育やってて転んだ』
櫻｢うわぁ、盛大にやったね...｣
『そんな見なくていいから、早く手当てしてよ！』
櫻｢あー、ごめんごめん｣
...この声。
しょっぴーだ。
そういえば、Aとしょっぴーが付き合い始めたって聞いたっけ。
仲良いやつが好きな人の彼氏とか...
...どういう仕打ちだよ。
どうか見つかりませんように。
そう祈りながら息を潜める。
渡｢誰か寝てるの？｣
櫻｢うん、ひとりね｣
渡｢へえー、誰？｣
櫻｢言うわけないだろ｣
渡｢えー...あ、上履きあるじゃん｣
やば、上履き外側に脱いだんだった。
最悪...なんで今日に限って...
渡｢田中...もしかして樹？｣
櫻｢あー、えっと...｣
バレてしまったし、翔ちゃんを困らせるのも可哀想だからカーテンを開けて顔を出す。
田｢...久しぶり｣
渡｢...おう｣
気まずい空気が流れる。
櫻｢よし、終わり。戻っていいよ。｣
渡｢...ちょっとだけ樹と話していい？｣
翔ちゃんに向かって遠慮がちに聞くしょっぴー。
それを見て俺の様子を伺う翔ちゃん。
....話した方がいいよな。
翔ちゃんに向かってゆっくりと頷く。
櫻｢...じゃあ俺はしばらく席外すから。｣
翔ちゃんは気をつかってその場から去っていった。
渡｢...時間大丈夫？｣
田｢...うん｣
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作者名：なあや。
| 作成日時：2020年7月4日 0時
