[Elext City] Ⅲ (ページ5)

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Hika《ふっか、どうした、何かあったのか》
Fuka《…そっか、ひかる…照は、そうだもんね》
Hika《は？》

Fuka《人型のバグ、そう、佐久間だったんだ》
その言葉に、モザイクがかった小さな人型はこちらを見る。
顔もぼんやりがかっていて、ぱっと見じゃわからないけど、自分はあの場にいた時からずっと一緒に、それこそこの世界を作る為に、一緒にいてきたから。

Hika《ふっか、知り合いなのか？…いや、でもそんなの、》
Fuka《大丈夫。俺は正常だから。安心して》
Hika《…それとも、俺があの妨害プログラムに懐かしいなんて事を思ってしまった事に、》
Fuka《！…あは、やっぱり、捨てきれてないんだね。いいよ照、武器を下ろして》
Hika《え、しかし…》
Fuka《いいから》
諭されて、少し戸惑ったままHikaは武器を下ろす。
そこでHikaが当惑したように声をあげた。

Hika《待て、これが人型のバグだって言うなら、》
Fuka《…そうだね。おかしな事が起きてるね》
2人は、入り口の方に顔を向ける。
Juri《……》
少し俯かれたJuriの表情はよくわからない。けれど、ぎゅ、と裾を掴む手が震えていた。

Hika《…Juri、何故嘘をついた、お前が嘘をついていなかったらこんな事、》
Juri《……んで、》
Hika《は？》
Juri《なんで、何でお2人とも違和感なく過ごしてるんですか、》
震えた声が木霊する。ユーザーが強制ログアウトされ、人が誰もいない神殿の中では彼の声は良く響いていた。

Juri《師匠も、先生も！何で京本さんを助けようとしないんですか！何で今のままで良いと思うんですか！》
くぐもった声と悲鳴のような呻き声をあげる「偶像様(大好きな先輩)」を前にして、あの時最年少だった彼は叫ぶ。
…きっと、それすらも、周りからは「バグ」にしか見えないのだろう。