[Elext City] Ⅲ (ページ12)

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Kochi《にしてもさ、NPCさんも大変そうだよねぇ。中途半端に生かされて、何の疑問も持たず生きてるってさ｣
Hika《は…？》
Fuka《大丈夫だよ、照》
Kochi《あはは、何となく神官様2人が人気な理由わかったかも。…あぁでも、君は違うみたいだね》

そう、意味深な言葉を連ねるKochiは、狼狽えるJuriの前にコツコツと歩き出す。
それを防ぐようにFukaとHikaが立ったが、それを見てもKochiは驚く事もなくヘラりと笑った。

Kochi《大丈夫だって、そんなに不安なら服装検査持ち物検査でもする？》
Fuka《そもそもこの今の[Elext City]に入ってる時点で要注意人物なんだよ》
Kochi《んふふ、酷いなぁ。でも俺の事は追い出せないでしょう？》

キッと睨み付ける2人だが、手を出す事が出来ない。
強制的に追放しようとするも、それを妨害する為のプロテクトのような何か──何か、なんて言わなくてもわかっている、阿部の仕込んたものだ──の所為で手出しが出来ない。
FukaもHikaもJuriも、このプロジェクトのリーダーである阿部には反抗できないようにプログラムを組まれているのだ。

rau♡《お待たせしました！…えっ、》
そのタイミングでやって来たラウールは、Kochiの姿を見ると目を丸くさせる。
Kochi《あ、久しぶりぃ》
Hika《rau♡、知り合いか？》
rau♡《こ、この前情報をくれて…》
Kochi《あぁ、作っちゃったんだ。へぇ、じゃあどうぞ？》

案外すんなり道を通したKochiに違和感を抱きつつも、rau♡は自分の作ったプログラム──鍵の形を模したプログラムを、Juriに手渡す。
rau♡《…頑張ってみたけど、使う人はちょっと危険ではあるから、どうしても賭けになっちゃうんです。…力不足で、ごめんなさい》
Juri《…でも、京本さんを救えるかもしれない？》
rau♡《はい、…絶対、っていう確信で言えなくて、ごめんなさい》
Juri《……ありがとう》

《随分と楽しそうだね》
Juriが震えた手でその鍵を持った、その時だった。
背後から聞こえた、聞き覚えのある声に背筋が凍った。