[Elext City] Ⅱ (ページ31)

今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:99,319 hit

＊ページ31

どうやらあの見知らぬ自称「村人A」の男性の言っている事は間違いではなかったらしい。
何やら違和感のあるプログラムを見つけたラウールは、それを解除しようと試みる。
ラウール(Personal…人格？何でこんなに鍵がかかっているんだろう…)
あからさまに封じ込めているかのようなそれに手を出そうとして、ラウールははた、と思った疑問を口にした。

rau♡《…あの、Hikaさん》
Hika《どうした。何か不具合があったか》
rau♡《いえ、そうじゃなくて…Hikaさんは、今幸せだって思いますか？》
Hika《？…どうした急に》

こんな事を聞いてしまったのは、きっと「キャラクターの人格」という1番大事な構成にこんなにも重厚なロックがかかっていたからだろう。
社員の事を大事に思っている松村がこういう事をするとは思えないが、そんな真似をされて彼は幸せなのだろうかと思ってしまった。

Hika《…何を思っているのかはわからないが、俺は幸せだ。ふっかはうるさいが、何だかんだでいなければ少し寂しい》
rau♡《Hikaさんは…今のままでいいと思いますか？》
Hika《今のまま？何言って……っ、》
戸惑った様子の彼が急にこめかみを押さえた。
慌ててラウールがHikaに呼び掛けようとした、その刹那だった。

阿部【それは出過ぎた真似なんじゃない？】
脳内に直接語り掛けるような、ひんやりとした阿部の声がする。
思わず顔を上げた。どうやらその声は自分にしか聞こえていないらしい。
刹那、視界がノイズで埋め尽くされ、ラウールは聞こえているか分からないくぐもった声をあげた。
Hika《っ、rau…！？》
ブツリ、と途切れてしまった視界はそのまま意識ごとブラックアウトしてしまった。