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rau♡《待ってください！》
人型のそれが、ラウールの姿を捉える。
刹那、消えようとしたそれに、ラウールは大きな声で待ったをかけた。
rau♡《この前は、ごめんなさい。いきなり撃とうなんて真似しちゃって》
びくり、と動いたバグのモザイクで良く見えないその顔がこちらに向いた気がした。
rau♡《聞きたい事があるんです。…貴方は、本当にバグなんですか》
人型はじっと黙ったまま、こっちを見据えていた。
表情などは見えないが、警戒心は何となくの雰囲気で察せられた。
《お前は、何■■の？》
あの時聞き取れなかった言語は、やっぱりバグが影響しているものだった。
解読機械に通されたその言葉は、少し高めの男性の声がしていた。
完全に解読出来る事はないとはいえ、やっとこれで会話が出来る。
rau♡《僕は、貴方の事を知りたいんです。貴方が本当にただこの[Elext City]に危害を加える為のバグなのか、それとも貴方も被害者なのか、》
《あべち■■の手駒じ■■■■？》
rau♡《…阿部さんを知っているんですか？》
つまり、阿部はこのバグを知っているからすぐに削除に動いていた？
…だとしても、阿部程の技術を持つ人間が手こずるバグって、一体？
rau♡《教えてください、貴方は何者なんですか。本当にただのバグなんですか、それとも、》
言いかけたところでザッというノイズ音が聞こえて来た。
それと共に手に生じた違和感に思わず反射的に右手を見ると、自分の手の一部がぼんやりとしたエフェクトと共に浮かび上がっていた。
rau♡(バグが、伝染した…！)
《俺は、何■■んだろうね》
最後にそう言って、人型は姿を消してしまった。
まだ聞きたい事は沢山あったのに！…でも、今は一旦戻らないといけない。
rau♡《向井さん、ごめんなさい。バグが伝染ってしまって…いったん戻ります！》
ko-ji!《え、あ、ラウ！》
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年10月4日 14時
