[Elext City] Ⅱ (ページ13)

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やっぱり、NPCは松村があの事件でいなくなってしまった社員を模して作ったプログラムなのだろう。
…と考えると、神官の2人もそうだろうか？それなら、HikaとFukaが松村にとても親し気にしていたのもとても納得がいく。
松村の同期がJuriだと考えると、向井の同期と阿部の同期というのは、どちらがどちらかわからないもののHikaとFukaという事になる。

その出来事自体にはとても合点がいく。
過去の事件について取り上げたくないのもわかるし、それを隠そうとしていた事についてはラウールだって理解が出来る。
けれど、ラウールが1番疑念を抱いているのはその点じゃない。

ラウール(…何で、今回の事件についての事を調べさせてくれないんだろう)
そう。今回の一連のバグについての事を、ラウールはあまり関わらないようにされているのだ。
最初こそは、バグを取り逃がしてしまったからかと思っていたが、それを鑑みてもあまりにも除け者にされているような気がしてならない。
まるで、これ以上に隠している事があるような。

阿部「ラウール、どうかしたの？」
ふと頭上から声がかかり、ハッと顔を上げると阿部の姿があった。
阿部「忙しくて放心してる？まあ今回は緊急事態だからね」
ラウール「あ、いや…」
阿部「ちょっと休憩していいから、それ終わったら作業の続きしてね」
ラウール「あ、あの！」

阿部「何？」
いつぞやの怖い視線はなりを潜めて、阿部は(少なくともラウールが思っている)いつも通りの優しい視線を向ける。
ラウール「僕は、今回のバグについては、もう調べさせてもらえないのでしょうか…」
しかしその言葉を投げ打ったその刹那、阿部は少しだけ懐疑的な視線に切り替わった。