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でも、そうなって来ると愈々彼の色の奥底まで見たくなってしまった。
どうやったら、あの人の悲しみの色を見ることが出来るのかな。
…前に言ってたことが本当なら、あの人は私が傷付けば、悲しくなる。
これは試してみる価値がありそうだ。
次の任務の時、私は怪我をした。
勿論故意にだ。
「む!A少女!!その手の怪我はどうした!!」
早速気付いた様子で、此方へ問うてくる。
「あ、これは昨期の任務で鬼にやられてしまいまして…」
嘘を吐くのはあまり得意では無いけど、鈍感と噂される炎柱なら大丈夫だろう。
「…それ程今日あった鬼は、強かったか?」
何やら不穏な空気が漂った。
「いえ。そこまで強くは無かったのですが、「………。」」
無言の圧力に圧倒される。
でも、今回の収穫は大きい。
彼は今、悲しんでいる。
綺麗な色が蝕まれて、悲しい色が出てきたようだ。
…それと同時に、嫌な色が出てきた。
いつもの情熱や信念の赤ではなくて、怒りに赤だ。
悲しみと混ざって、汚くてどす黒い紫が出来上がってしまった。
「む、どうした。話を続けなさい。」
何時もと違う様子で喋る彼に内心恐怖を感じた。
「え、えっと、少しミスをしてしまって…」
「嘘だな!!!!!」
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作者名:柊 | 作成日時:2020年10月22日 20時