8UPPERS ......Another Story Film 3 (ページ10)

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失った未来ページ10

ρ side.

いくら両親の頼みといえど、
うちにもうちなりの事情ってもんがある。
余計な過去を思い出した後、
無性に虚しくなって、気づいたら酒場にいた。
これからバーに行こうとしてたというのに、
身体が我慢できなかったらしい。
無意識のうちに度が強い酒ばかり頼んでいた。
夜が明け、店を閉めると言うまで何も話さず、
ただひたすらグラスに口をつけていた。

末の娘を迎えに行ったっきり帰ってこない
もう一人の娘を両親は心配しているだろうか。
いや、そんなわけない。
両親にとって可愛いのは夢だけ。
きっと倖大も雄汰も気づいてる。
最初は違った。
でも、それは昔の話、今じゃない。

なんだか無性に腹が立ってきた。
自分が可愛いからではない。
この理不尽な世の中に、
“政治家”とかいう奴らに、
自分を取り巻く環境に、
明るい未来をすべて奪われた。

歩けど歩けど怒りは収まらず、
結局、頭に血が昇ったまま
“The Eight”に着いてしまった。
もうなんか、どうでもよくなって
古そうな扉を蹴飛ばした。

8UPPERSが物凄く強い始末屋だということは、
重々把握している。
だから何だ。
親は、もう私を愛してはくれない。
兄弟だって、今や立派な殺し屋だ。
従兄弟だって、暴力団とヤクザだ。
みんな、もう戻れない。
……自分も、もう引き返せない。

ならいっそ、最高の始末屋に殺されて
有終の美とかいうやつを飾ろうじゃない。
　
ドアが吹っ飛ぶと同時に
店の中に踏み込んだ。

……あぁ、もう、

どうにでもなれ。