いーとみー外伝 (ページ30)

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６-⑦ ページ30

やっと袋に服の類を入れ終わった。

「ほんまにありがとうねえ忙しいのに
あ、子どもたちと遊んでく？」
「んー、そうしたいんは山々ですけど
お嬢様待ってますんで」

流石に待たせすぎるとあの子が拗ねる。

…どういう意味かはさておき、あの子俺の事大好きやから。
たとえ一時の感情で…いつか、消えてしまうもんやったとしても

それを真っ直ぐに伝えてもろてる今は、どうしようもなく嬉しい。
やから俺も、たくさんの嬉しいを返してあげられたらなって思う。

思う、けど。
それが執事の立場で、どれだけ出来んのかは分からん。

だって、もし、もし何かの間違いであの子の大好きが恋の大好きで、それがずっと続いてったとしても
俺はその気持ちに応えることは出来ひん。

「今日はほんまにありがとうございました」

施設を出て屋敷に向かう。

手の中の、もう入らないであろうキャップを見つめた。
…これだけは、これからも捨てないで取っておこうと思う。

俺があの子に恋してた証。
ずっとずっと、あの子の傍に居たいと願った証。

晴れて執事となって、傍にいる事で、苦しいこともあるけど、それでも。
俺はやっぱりあの子を傍で見てることを選んだから。
俺の伝わらない、伝えたらあかん想いの証。

(…俺、自分が思ってるよりずっとあの子のこと好きなんやな)

そんなことを考えながら
夕暮れ時の空の下
早く帰ろうとする足が急いだ。