いーとみー外伝 (ページ23)

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５-⑥ ページ23

○○くんと別れて、服の入った袋を抱えて、街中を歩く。

気づいてしまった。
気づいてしまったから、多分俺の頬は少し赤く染っていたんやないかと思う。

…よく、分からんかった。○○くんの言葉は。

や、意味は分かった。
○○くんが言うてたのは、多分多くの執事が等しく持つ感情。

でも、俺の心の中に、その感情に当てはまるものは、なかった。

…今の俺からあの子を取ったら、一体何が残るんやろ。
俺には分からへん。

12からの遅い始まりやけど、あの子の嬉し悲しを一緒に隣で分け合って、それで幸せになる人生しか、俺は知らん。

一人で生きていけるなんて言葉、俺は言えへん。

ほっとけないとか、そんな次元やない。
もっと暖かくて、愛おしくて、何処か苦しくなる。

(俺、あの子のこと好きやわ…)

それがあかんことなんて子ども心に何となく分かってた。
いや、ほんまはちゃんとは分かってなかった。でも理屈の上では理解してた。

それでも、気づいてしまった気持ちに、心の中は驚くほど素直やった。

(…好きやなぁ)

あの子の顔が瞼の裏に浮かんで、また頬が緩む。
俺が選んだとっておきの可愛い洋服に、彼女はどんな顔をするんやろ。

こんな思いを抱えとったら、俺多分執事一生辞められへんのちゃうかな。

…それも悪かないかな。
もし、君の傍にずっと居れるんやったら

そう思った。

結ばれへん恋やけど
きっと、ずっと愛してる。