いーとみー外伝 (ページ1)

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「○○と申します！
えと、不慣れではありますが、今日からよろしくお願いします！」

挨拶なんてどうしたらええのかわからんくて、そんな感じで少し緊張しながら言った、

「やすだ…しょうた…」

君は小さく呟いた後
嬉しそうに笑って

「よろしくねっ、安田！」

そう俺を呼んだ。

「や、やすだ？」
「うん、安田でしょ？」

「…はい、安田です！」

こうして俺は、彼女の隣という地位を得た。
やっと俺の、見てるだけな恋が動き出した瞬間やった。

ほんまに嬉しかった。

俺は元々はそんなにマジメな人間でもなかったし、どちらかと言えば…うーん、何て言うかなぁ、ちゃらんぽらんな人間？やったやろけど‪w

周りの人に聞いたら百人中百人中口を揃えて『あの日から人が変わった』って言うやろなって

そんくらいに俺は変わった。

体育と音楽と図工以外は手え抜いてた勉強を、ちゃんと真面目に聞くようになった。

…彼女の疑問に答えられる自分であるために。

注意されてもちっともやめへんかったマナー違反や忘れ物をぱったりやめた。

…彼女の模範となれる自分であるために。

全てが彼女に帰結していた。
そん頃はその感情に恋なんて名前を付けられるほど素直でも大人でもなかった。

だけど今思えば間違いなく恋やった。

こんなにも自分の全て賭けられる存在を、彼女以外に知らんかった。

あの頃俺がそんな感情を抱いていたことなんて、きっと君は知らないんやろな。

君の気持ちの大きさが、俺なんかには到底計れないのと同じ様に。

これは、俺が彼女に恋するお話。
きっと彼女が知らない俺の話。