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「ヤス…？」
そう声をかけて、ハッとした。
今まで、こいつの顔をちゃんと見たことが何度あったんやろうか。
ひょっとして、ずっとこんな顔しとったん？
ヤスは眉間に皺を寄せて、苦しげな表情で俺を見つめていた。
どこか色気も感じるその視線に鼓動が早くなる。
不思議と、恐怖感はなかった。
驚きの方が大きかった。
ヤスが俺をソファの上に押し倒しても、やっぱりびっくりする方が先やった。
あと、知らん顔を見てしまった背徳感？
見下ろすヤスの眉間の皺がさらに深くなる。
それは辛そうというよりは、溢れそうな何かを堪えているように思えた。
吐かれる息ひとつに、揺らぐ視線が正面から絡まる度に、心臓の音が加速する。
こいつ、こんな男らしかったっけ。
左頬に触れた手は熱かった。
「俺は、ほんまに付き合いたいと思う人にしか、付き合おうとか言わへん…冗談でも」
何やろ、これ
俺が女になったみたい。
俺よりずっと小さいくせに、普段よりずっとかっこいいヤスに
押し倒されて口説かれてる。
親友やったはずの、それも男に。
「キスも…ほんまに好きな相手としかせえへん」
唇を撫でる指に背中がゾクッとした。
嫌な感じやなくて、なんか…
さっきのキスを思い出す間もなく、ゆっくりと顔が近づく。
押し返すことも顔を背けることも出来たはずなのに
気がついたら何故か目開けたままその口付けを受け止めた。
「この意味分かる？」
至近距離で見つめられたら、優しい口調でも『分からない』なんて言えへん。
こんな時でもヤスは優しかった。
「…嫌なら嫌って言うてええんよ」って言って微笑む。
嘘つけ。
お前今思いっきり勃ってるくせに。
自分が、親友やと思ってた奴にそんな対象に見られてるなんて、未だに信じ難いけど
何となく、それに気づくと同時に、受け入れてもいいかなって気になった。
「俺が求めてたんとちゃう…」
「あははっ、せやなぁ」
何か違うのは事実やけど。
こんなに俺の事を好きでいてくれる人が目の前にいるなら
そこに逃げるのもいいのかな、なんて思ったんや。
「…ヤスはしたいん？
どうしたらええかも、どうしたいかも分からんから…ヤスのしたいようにして欲しい」
でも、少しだけ。
それでええんかななんて思いもあって。
そんな俺の妥協に、気づいてたんかな。お前は。
…きっと気づいてたんやろな。勘ええからお前。
でも、きっとあえて言わんかった。
「…お望みとあらば」
それだけ言って、微笑んで。
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ゆ(プロフ) - よつげさん初めまして。全部完結まで読みました。これからも頑張って下さい。そして緑青のお話好きなので忙しなければまた書いて下さい！これからも楽しく読まさせていただきますね。 (2020年6月20日 6時) (
レス) id: f7e2b3d28c (このIDを非表示/違反報告)
雨悠(プロフ) - 伝えてないだけでちゃんと大切に思ってるのがわかって安心しました！毎日楽しみにしています！！！ (2020年6月10日 15時) (レス) id: de14c26198 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - こんばんは。今回のオクラさんサイドのお話、私が思うよりずっとやすすはオクラさんに愛されてたんやな…と感慨深く見守っております。全然長くなってもいいんですよ！中編挟んじゃっても（笑） (2020年6月8日 0時) (レス) id: a88f73c135 (このIDを非表示/違反報告)
jp8727(プロフ) - この作品を見るのが楽しみでしょうがありません...！！これからも楽しみにしてます、頑張ってください！ (2020年6月6日 23時) (レス) id: 541558513a (このIDを非表示/違反報告)
ころん(プロフ) - よつげ腐垢さん！待ってましたo(^▽^)o結末を知ってるはずなのにドキドキそわそわしちゃいます！また二人が幸せになるまで見守りたいです、応援してます(*^^*) (2020年6月1日 22時) (レス) id: 622f97ce5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よつげ腐垢 | 作成日時：2020年5月27日 23時
