メンズルール(倉安BL) 前編

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マルという人物は、まぁなかなかに頼りない感じやった。

四人で作戦考えてた時もうっすらは感じてたけど、マルは全然莉子の悪どいところに気いついてへん。

もっとも俺も、写真見てへんかったらどうやったか分からんけど。

「マル、莉子ちゃん呼び出したん誰の携帯やっけ？」
「それが答えや」

ヤスはしっかりしてんなぁ、なんて思う。
俺なんか…どうしたらええかよお分からへん。

このまま彼女を傷つけてまで
別れるのが正解なん？

目の前で繰り広げられる光景が、怖くてしょうがなかった。
ヤスに言われるがまま服の裾を掴む。

彼女をこれから傷つけなければいけないことが、怖い。
…ほんまに傷ついてんのか分からへんって言われたらそれまでやけど、少しでもそんな顔されたら、きっと
どうしたらええかわからんようになる。

莉子がマルに縋っている。
あの写真は本物なんやと今更のように思った。

俺があの子振ったら
あの子も俺も一人なんとちゃうの？

マルがこのまま莉子のこと振ってくれるんやったら
俺このまま莉子と付き合っても、バチは当たらんよなぁ？

「言い訳は見苦しいで？」

何であんな冷たい顔で、酷いこと言えるん？
どうやって突き放したらええんか…俺には分からへんよ。


俺は、情けないほどに現実と向き合えてなかったことを、その時やっと思い知った。


立たせえなんてヤスに言う、横山くんは残酷やなと心から思う。
ええ人なんは分かってるけど、きっとやり方が下手くそやねん。

行けへんって呟いた。
ヤスはきっと分かってくれたんやろうな、何も言わんかった。

莉子が俺らの前を通り過ぎるのを見守る。

ごめん、俺が不甲斐ないせいで。ごめん。

「おーくら…帰ろ？」

なぁヤス。
何でお前は…そんなに優しいの。

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