繭華の思い ページ9
と、いうのはあくまでもジョーダンで。
私は大きく、わざとらしくためいきをつく。
「あのねぇ丸山
べつにかくさなくたっていいのよ？」
「やから、ほんまにそういうのとは」
「顔赤いけど？」
「あ、暑いんですかねぇ…」
こんなあせった丸山はめずらしい。
おもしろい。
「…ねぇ丸山
丸山は、私が生まれる前からこの屋しきにいるんでしょ？」
「？はい」
「私がママのおなかにいる時からずーっと
この家のためだけに仕えてきた」
「ええ」
「あんたのことはそんな好きじゃない。
けどそれには、ちゃんとかんしゃしてる」
「…」
「だから、すぐにとは言わないけど
丸山にはちゃんと幸せになってほしいの」
いつも私をイヤミったらしく注意する丸山。
でもそこにはいつもシジョウが見えなかった。
あ、つかれは見えたけど。年だからね。←
だからこそ咲子さんに、丸山が私を世界一のおじょうさまに育てようとしていると言われた時も、それをウソだとは思わなかった。
丸山にはちゃんと丸山なりの仕事のプライドがあって、それをいつもつらぬいてる。
バケモノみたく思うほどに。
そんな丸山だからこそ、ちゃんと人間らしい幸せをいつかつかみとってほしい。
だからこそ、咲子さんがいい人かどうかも気になった。
「…自分の心配をなさってください。
そんなんやったら一生お嫁に行けませんよ？」
「え！？やーよそんなの！
…そのうちね！そのうちがんばってお勉強もお料理とかもやるから！」
「…そのうちw」
「笑わないでよ！」
「すみません、じゃあ私もそのうちで」
「え？」
「そのうち、そのうちちゃんと幸せになりますよ」
丸山の顔はいつになくやわらかくて
ちょっと安心した。
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作者名：よつげ | 作成日時：2019年2月27日 16時
